こだま国際特許商標事務所

知財を経営資源に! 千葉の弁理士

TEL.043-306-3109

〒260-0013 千葉県千葉市中央区中央3-13-7  コスモ千葉中央ビル401

11月

ソフトウェア特許のコツ①

 ソフトウェア特許が認められるようになって、はや数十年。

 ソフトウェア特許を書くときのコツをメモ。

 ソフトウェア特許とは、コンピュータによるデータ処理を記載していくことによって成立させるものです。

 しかし、コンピュータによるデータ処理は、画面上では見えにくい。
 つまり、画面上に表れていない動作や計算方法については本当にやっているのかどうかわからないことが多い。

 どのような計算を行っているのかがわからない場合、特許がとれたとしても、模倣した者が、本当に自分の計算方法を使っているのかどうかがわからない以上、侵害警告を行うことは難しい場合が多い。

 複雑な式を導入することで、確かに特許性(特許のなりやすさ)は高まりますが、侵害発見が困難になります。請求項に入れるのは最後の手段というくらいに考えておいたほうが良いのです。

 そのため、ソフトウェア特許は、入力情報、出力結果等の確実に画面上に出てくる情報をそのデータ処理の対象とすることで権利化し、その計算方法については可能な限り請求項に入れないことがポイント。

 極論を言ってしまうと、審査官から「これらデータをどのように算出しているのかが曖昧である」といわれて記載不備の指摘をされるくらいがちょうどよいのではないかと、勝手に言い訳。

ボール

 金曜日のフットサルは楽しかったのですが、蹴れず動けず、悲しかった。

 そこで、フットサル用ボールを買ってしまいました!!

新型コロナのアビガン特許

 新型コロナウイルス感染症に対して、世界中でその治療薬開発が行われています。

 ところで、ニュースで「アビガン(一般名:ファビピラビル)」が新型コロナに聞くのでは?という話があったと思います。今日はこのお話。

 ファビピラビルは、抗インフルエンザウイルス剤として開発された物質であり、富山大学と富山化学工業が共同開発した薬であり、すでに特許として成立しています(特許第4355592号「抗ウイルス剤」現特許権者:富士フイルム富山化学株式会社)。

 しかしながら、中国が中国国内だけでなく日本においてもファビピラビルに関する用途発明を特許出願がなされていることがわかっています特願2020-173044)。

 え?そんなことってあるの? と思うと思いますが、残念ながらありうるんです。

 用途発明とは、たとえ既に知られた物質でも、その新たな用途(効果)を発見した場合、その用途に限定した形であれば、特許出願を行い、他の特許要件を満たす限りにおいて成立させてしまうことができるのです。

 つまり、今まで新型コロナウイルスなんて存在していなかったのですから、実証データさえあれば「新たな用途の発見」という主張はそう難しくはなさそうですよね?

 このブログの執筆時現在、日本の上記特許出願については、特許庁から拒絶理由が通知されているようですが、この結末について非常に興味があります。

 もし仮に、中国の特許出願が成立した場合、 基本特許の権利者である富士フイルム富士化学であっても、新型コロナウイルスの治療薬として出荷しようとする場合は、中国人民解放軍(のアカデミー)に特許料の支払いをしなければならなくなってしまいます。。。

 

医薬品と特許①

 最近の新型コロナウイルス感染症の拡大の状況下で、特許の話が出てくるときがあります。

 国内的には「裁定制度」であり、国際的には「特許の南北問題」や「パテントプール」です。

 今日はまず国内的な話題「裁定制度」のおはなし。

 まず、”医薬品”は特許の対象になります。
 つまり「新型コロナウイルス感染症の治療薬」等は特許の対象になる、ということです。もちろん、ワクチンも。

 一方、製薬会社は人の病気の治療薬を開発する公益的な面を持つとはいえ、会社である以上、営利を追求する団体です。
 そのため、利益を最大化するために医薬品について特許権を取得し、他社が同じ医薬品を製造販売できないようにします。

 一方で、皆さん感じると思うのです。
 「こんな人類の未曽有の危機のときにもお金優先になってしまったらどうするの?」って。
 確かに、特許権者がすごく効果のある薬を開発して特許をとったけど、わざと生産量を落として不足な状態を作り、価格を釣り上げて販売してしまったらどうなるでしょう?
 命を人質に取られてしまいますよね?

 そこで、出てくるのが「裁定制度」。

 いくつか種類があるのですが、今日話題にする裁定制度は、ざっくり言うと
公共の利益のために他人(特許権者以外)にもその特許を使えるようにする」という制度です。
 これは経産大臣に求めることができます

 この制度によって、上記のような問題が生じうる場合、強制的に、特許権者でない者に特許の対象となる医薬品を製造販売させることができるようになるのです。

 ただ、今まで裁定制度が使われた例はなく「抜かれない伝家の宝刀」状態であり、この度の新型コロナウイルス感染症では使われるのではないか?と思ったのですが、国内的にはまだ特許が取得されたという話はあまり聞かず、やはりまだ使われないようです。

フットサル

 新型コロナの感染状況が落ち着きつつある状況で、会派の同好会の活動が再開されつつあります。

 そこで本日夜、1年半以上ぶりに会派主催のフットサル練習会が開催されましたので、早速参加しました。春秋会だけでなく他の会派の知財関連の方々が参加していました。

 ボールを蹴るのは久しぶり(数十年ぶり!!)でしたが、何とかなるのではないかと甘く見すぎていました。まさか目の前30cm先のボールに足が出せないとか。。

 次回は何とか恥をかかないように鍛えたいと思います!

教育機関における著作物の利用(上映)

 

大学等の教育機関は、他人の著作物を複製することができます(著35条)。
ただ、最近はパワポでの授業が増えてきており、この行為が気になります。

他人の著作物が載った複製物の印刷物を配布することは著35条の範囲内で許されますが、
パワポのスライドをプロジェクタで写した場合はどうなるのか?
という問題があります。

 

パワポのスライドをプロジェクタで写す行為は「上映」であり、
著35条で許容される「複製」ではありません。

 

一方で、著38条では、
①営利を目的とせず、
②聴衆又は観衆から料金を受けない場合は、

著作物について上映、口述等をすることができると書いてあります。

 

つまり、教育機関においては、この条文により「上映」も許される、ということになります(結論)。

  

  

結論はこうなるようなのですが、
実は少し腑に落ちないところがありますので、今日はここのお話を。。。
(難しい話が嫌いな人はここまでで結構です )

  

  

著38条では、確かに上記①②を満たしていればよいのですが

この条文のただし書きに、
「上映等について実演家又は口述を行う者に対し、報酬が支払われる場合はこの限りでない」旨の記載があります。

そして、この「報酬」か否かの例として下記があるといわれています(加戸「著作権法逐条講義」(6訂)302-303)

(報酬とは解釈されない場合の例)
(A) 弁当代
(B) 交通費
(C) 宿泊施設代金
(D) 消防庁の音楽隊の隊員に対する給与

(報酬と解釈されてしまう場合の例)
(E) 上記弁当代等の名目であっても実費を超えるような金銭
(F) 職業的音楽バンドの人が月給制の場合の給与

 

・・・ここで、今日私が言いたいのは
上の(D)(F)二つの演奏家に対する給与の例って何が違うのさ?
ってことです。

逐条講義によると(D)の理由は、
公務員としての職務に従事する一般的な対価であり、
演奏行進などの場合のその演奏を行うことについての報酬ではない
ため
ということらしいのです。

 

でも、公務員であるとしても、
消防庁の「音楽隊」って、演奏に専念することが前提の職務ですよね?

 消防庁の現場の救急隊員が署内のサークル”音楽隊”に属していて演奏するのであれば、
確かにその対価はもらっていないと理解できるのですが。。。

逆に、実質的に職業的音楽バンドの人が一般企業の一部署に勤める形式にして、
「事務的作業の対価」として給与をもらっている体にしたらどうでしょうか?

・・・これは普通にありそうですよね?

 

それとも、
公務員であるか否かで違うということになるのでしょうかね?
個人的にはあまりにしっくりこない理屈です。

ただ、上記の(D)の見解は
別の方(作花「詳解著作権法」4版 367)によっても支持されており、

 学校の先生に対する見解について、
教員の給与についても、学校の教育・研究及び組織運営に携わることに対する対価であり、
  著作物の口述に対する報酬でない
」と言っています。

つまり、結論としては、
学校の教員であれば、給与を受け取っていても、
著38条でいう報酬には該当しないため、
著38条に基づき自由に使用できる
ということです。

 ・・・でもね、そうなると
人にいろいろな知識を口述にて伝達するのが前提のはずの教員に対してこれを言ってしまうと
「著作物の口述に対することが前提で報酬を受けている人」ってそもそも居るんかいな?
ってことになりますよね?

 さらに、これが許されるのであれば、
学校の授業でアニメ映画を授業と称してそのまま流しても問題なくなりますよね?
冗談だと思うでしょ?でもたまに居るんですよねこれが。。。

 でもだめなら、どうやって禁止できるでしょうか?この報酬の解釈を限定するんでしょうか?

 ここで仮に、上記報酬の解釈に例外を設けてNGにしてしまったら、もっと複雑な場合分けが必要になり、
もうこの条文の解釈なんて「その場その場でなんでもあり」になってしまうし、
これから行おうとする自分の行動が許されるかなんて予測不可能又は困難になってしまいます。

 著作権法の場合、個別的な解釈が過ぎる気がします。。。

 著作権は、相談を受けても、いろいろな場合分けがありすぎて、お客さんから質問されても明確な回答ができないのが非常に残念です。

 私としては、せっかく著35条があるのですからこちらに教育的な上映を入れてしまえば?という意見なのです。

授業(2021/11/2)

大学で授業を行いました。

14回シリーズの4回目。

知的財産を活用したヒット商品のまとめと、企業における知的財産戦略の話。

企業の知的財産戦略では、まず「オープン・クローズ戦略」の話をしました。

ざっくりいうと「知的財産権は、その独占排他的な権力を用い、自社の技術を独占する『クローズ戦略』が原則であるが、クローズ戦略だけでは不利になることが多いため、技術を開放する『オープン戦略』をとらざるを得ないことも少なくない」という話。過去のいろいろなニュースで具体例を示しながら説明しました。トヨタの開放特許とか、キャノンのプリンタとか。。

また中小企業の知的財産戦略の章では、もう少し具体的に、千葉県内の公的機関による人的支援と費用的支援(助成金の活用)の話をしました。「勢いのある中小企業はこれらの制度をうまく使っていますよ」という話をしながら。。

スタートアップに興味のある学生を対象とする授業のため、知的財産権法の概論とは少し異なる授業を試みているのですが、もう少し学生寄りにしたほうが良かったのかもと少し反省。

180000km

 車のメーターを見ると18万キロを超えていました。年間3万kmという計算です。

 コロナの場合、お客様との対面を考えると、車の方がリスクは少なくなると思い、むしろ車での移動が多くなったかもしれません。

 愛車のマーチも6年目を迎え、満身創痍ですがもう少し頑張ってほしいです。