こだま国際特許商標事務所

知財を経営資源に! 千葉の弁理士

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11月

大学キャリア教育

 千葉の大学(千葉大学)では後期に15回の授業を担当させていただいているのですが、これ以外も実は単発で複数担当しており、キャリア教育にも少し関係させていただきました。

 キャリア教育とは、学生の将来の経歴(キャリア)に関する啓発教育であり、大学生が自分の将来をどのように設計していくのかといったことの授業です。

 昨年のコロナ禍でオンライン授業の動画を作ったのですが、今年も使いたいというお声をいただけたので2年連続で提供させていただきました。

 内容は、「弁理士とは」ということを冒頭に説明し、私の恥ずかしながらの経歴を体験とともに語り、更に最後には、言いたいことを言ってしまうという何とも自分勝手な授業でございます。

 期間を区切ったオンデマンド視聴のため、いつ視られているのかわからなかったのですが、本日感想をいただきましたので、ブログに書いてみました。

 たくさん受講していただいたようで、100人以上からご感想をいただきました。おそらく単位認定には感想文の提出が必要かと想像。

 弁理士を知らなかったという声がかなりありまして、弁理士に興味を持ってくれた方が結構いました。よかった。弁理士会大喜びのはずです。

 一方で、ドキドキした自分語りについてですが、こっちのほうが反応が大きく、びっくりしました。 実は炎上するのではないかと少し心配でしたので。

 自分が一社会人として活動している中で、学生さんに限らないのですが、他の人の人生の何かのきっかけになれれば、こんなうれしいことはありません。

 視ていただけて、感想もいただけて大変光栄でございました。

小規模持続化補助金(第5回)

 少し前の話になりますが。書き忘れていたので。

 千葉県内、市原市のお客様と相談でお話していたところ、試作品の費用や出願の費用について心配があるとお話しいただいたので、小規模持続化補助金についてご説明したところ興味があるとのことで、今年度第5回の募集にお手伝いさせていただきました。弁理士が?と思うかもしれませんが。

 そして先日の発表があり、無事採択されました。倍率は2倍程度でした。

 小規模持続化補助金は、3分の2の補助率で最大50万円です。

 75万円の事業を行うと50万円の補助金が戻ってくるというものであり、試作品の材料費や弁理士の書類作成費用に充てることもできます。

 このように、補助金や助成金を活用することで、費用負担を下げることだけでなく、その他の副次的な効果があります。

 特に小規模持続化補助金は、1年を通じて複数回募集されておりますので、「タイミングを合わせやすい」というところが利点です。

 ただし、申請のタイミングを事業の計画と合わせることも非常に需要ですので「すぐではないけど相談する」ということが実は重要だったりします。

 さらに、補助対象になる費用、対象にならない費用、書き方(捉え方)によっては対象になる費用等様々です。補助金や助成金の種類によって出るもの出ないものがありますのでここは注意が必要な点あるあるです。

 また、これらの補助金の申請書については書き方にコツがあります。

 個々の点につきましては、事業内容を踏まえて適切な補助金や使い方をご助言できると思いますので、ご興味のある方は是非とも当初までご相談ください。

 弁理士は新しい技術を文章で表現してその素晴らしさを主張することで特許権を主張する専門家であり、その主張の技術で助成金申請を上手に扱うことができます。もちろんそれ以外に必要がことはあるのですが。。

 ただ、実際に弁理士の方が補助金申請の具体的な支援等をやっている人は少ないかな。飲み会の席でも会議でも、は?てされるし、あんまり内容知らないみたいだし。

 今年も補助金や認定について色々ご支援させていただいておりますが、今のところいずれも一通り採択されております。今年は運がよいです。

 小規模持続化補助金に関しては、次回は2022年2月4日になります。

 現在1社準備中です。連勝記録がストップしないよう頑張ります。

ライトニング端子

 

9月のニュースですが、規格とクローズ戦略の話として面白そうだったので。

EU スマホなどの端子USB-Cに統一へ

 EU(=ヨーロッパ連合)は23日、スマートフォンなどの電子機器に使う充電器の端子を「USB-C」に統一する方針を発表しました。
 これはEUの執行機関であるヨーロッパ委員会が発表したもので、域内で販売されるスマートフォンやデジタルカメラなどの充電機器の端子をUSB-Cに統一するとしています。
 ロイター通信によりますと、これにより利用者の利便性が向上するほか、充電器やケーブルなど年間およそ1000トンの電子ゴミを減らせるとしています。
 スマートフォンの充電端子を巡っては、アンドロイドOS端末の多くがUSB-CやマイクロUSBを採用する一方、アップル社のiPhoneは「ライトニング」端子を使用していて、EUはかねて規格の統一を求めていました。
 今回の発表を受け、アップルは「技術革新を妨げ利用者の利便性を損なう」と反発しています。

引用先:9/24(金)日本テレNEWS24(NNN)

 このニュースを見て思うことは、
現状のスマートフォン市場は「Apple」vs「それ以外」という状況で、
Apple以外の勢力がAppleを排除するようにしたんだなということでしょうか。
まあ、国がの機関が乗り出しているところもすごい。

 ここで、考えるのがクローズ戦略による課題ということです。

 Appleはライトニング端子について特許権等を取得しており、
基本的にはAppleやそのライセンスを受けた者しか製造できません。
 ライトニングについて特許等調査を行ったことがあるのですが、多数出願されています。
 これが知的財産権を利用した「クローズ戦略」です。

 クローズ戦略の利点は、
 優れた技術を独占することにより他社製品と差別化し、
付加価値を増大させることで利益率を高くすることができること、
  と言われています。
 要するに、競合との差をはっきりさせ、価格競争に巻き込まれにくくなると。

 ですが、特許を取得し、ごく限られた者のみがその特許発明を実施できるとするクローズ戦略は
多数決に負ける」ということです。

 では、どうするのか?と考えるのですが、まずは味方を増やすことを考えます。
 具体的には、保有している特許を(競合に)開放し使用してもらえるようにすることです。

これが「オープン戦略」ということになります。

 オープン戦略の利点は、味方を増やすことで市場を拡大させることができ、開発費用等の低減や上記の多数決の論理による排除のリスクを下げることができるものです。ただ、クローズ戦略とは異なり、価格競争に陥りやすく、付加価値をつけるのが難しくなります。

 オープン戦略を確固とするためには、競合する連合体が出てこないようにすることも重要です。
つまりJIS等の公的な「規格」を確立することが重要です。
 規格を確立することができれば、信頼性は向上し、新規参入企業もこの規格に従わざるを得なくなる等優位に立てます。

 つまり今回は、オープン戦略のUSB-TypeC派が規格を通じて勝った、というこになるのでしょうかね。ただ、通常、この程度の分野であれば規格は複数存在することが許されるのに、規格統一の強制力を持つというのはすごいこと。

 なお、規格にするということと、知的財産権で保護することは相反するものではなく、規格に関する特許等を保有していても、無償で提供しなければならないというわけではありません。実際、日本JIS規格でも特許権を行使することができます。この手法にパテントプールという概念が出てきますが、これはまた別の時に。。

 つまり、クローズ戦略とオープン戦略はバランスをとることができることになります。

 あと、自戒しなければならないのは、私がここで記載していることは、結局、何にもしていない傍観者が偉そうに文句を言っているレベルということです。偉そうに言っても、自分にはできないレベルの事業なので。。。

授業(2021/11/16)

 今日も授業を担当しました。6回目。

 今回は新しいアイデアを発表してもらい、その発表内容について検討をする会。

 授業の資料は特に作成しないので、ディスカッションが終われば完了。

 特許出願等の可能性があるので、授業に参加いただいた方には秘密保持について宣誓をいただきました。

審査員と発表者 in審査会

 いろいろなところで審査委員を担当させていただくことがあります。大変光栄なことでございます。

 今日は、ここでカッコ付けて理想論のお話。

 さて、審査会における審査委員の役割とは何でしょうか?

 審査員にとっては「点数をつけて申請内容を評価する」というのが本来の仕事であり、これ以上でもこれ以下でもありません。究極的には。

 でもですね。発表のある審査会では。。
 私は、審査委員に求められる重要な役割は「発表者にベストプレイをさせること」「その上で公平に審査すること」だと思っています。

 もう少し具体的に言うと、「発表者の言いたいことを十分に理解」して、「発表者が言い足りてなさそうな部分を察知」して、「その部分を引き出す質問」をして、「発表の補完」をさせる、ということです。発表の時間は短すぎるから。

 発表者とこのようなコミュニケーション、言葉のキャッチボールがうまく取れると、気持ちのいい発表になります。一方で、発表者とのコミュニケーションのずれがありすぎると、審査員としても凹んでしまいます。

 また、非常におこがましいところですが、追加として、私の質問の場合「こうしたらもっと良くなるのではないですか?」とか「この事業では、この点に注意してください」というメッセージを含めることが多いです。つまり、気づいてほしいことを質問という形で伝えるのです。

 たまに他の審査委員の方から「質問というよりコンサルだね」と言われることがありますが、実はそれが目的なときもあるのです。気づいていただけると助かります。

 また、できる限りうなずきながら話を聞くようにしています。「聞いていますよ。」「言いたいことは理解していますよ。」というように発表者と暗黙にコミュニケーションをとるつもりで。

 ですので、審査委員は敵だと思わないでください。というお話でした。

 実はこれは、企業で就職面接を担当していた時に総務課の担当者に常々言われていたことなんです。

 企業に就職活動で来てくれる学生さんには、就職面接でベストを尽くしてもらい気持ちよく面接が終わることで、 たとえ採用に至らなくても、その方の人格を否定するものではないこと、うちの会社を嫌いにならないでほしいこと、近い将来自分のお客さんになってもらいたいこと、を常々言われていました(少しいやらしい感じですけどね)。それが今の私の中にも根付いています。

 ※今日のブログは個人の感想です。効果には個人差があります。

 

 

知財ミックス戦略とは

 最近の流行している言葉に「知財ミックス戦略」なる言葉があります。

 調べてみると、
一つの製品やサービスを、特許、実用新案、意匠、商標等により多面的に保護する戦略
ということらしいです。

 技術的な面は特許、デザイン的な面は意匠、商品名は商標、製造技術はノウハウ等ということでしょうか。

 ・・・言葉を作られた方、本当に申し訳ありません。当たり前すぎて。。。。。

 何かしらの特殊なフレームワークに落としてもらえると大変助かりますが。私が知らないだけなのかも?

オプジーボ

オプジーボに関して、小野薬品と本庶佑先生が和解したそうです。
今日はこの話題を。

オプジーボ特許料訴訟で和解成立 ノーベル賞・本庶佑氏と小野薬品

 がん免疫治療薬「オプジーボ」を巡り、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑(ほんじょ・たすく)・京都大特別教授が小野薬品工業(大阪市)に特許使用料の分配金262億円の支払いを求めた訴訟は12日、大阪地裁(谷有恒裁判長)で和解が成立した。京大が明らかにした。
 地裁が9月に和解案(内容は非公表)を提示し、双方が協議を続けていた。
 訴状などによると、本庶氏が求めているのは米製薬会社「メルク」が小野薬品に支払う特許使用料の一部。本庶氏側は小野薬品に支払われた使用料の40%分を受け取る約束があったが、実際は1%しか支払われていないと主張した。
 一方、小野薬品側は「本庶氏に40%分の支払いを提案したことはあるが断られた経緯があり、契約は成立しなかった」などと反論していた

引用先:毎日新聞2021/11/12
URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/e6955d04179a6df39248bd76edd72404df5dded3

 なんとなくわかったような、わからないような。
 ここで経緯の確認。ただし、インターネットで調べた範囲。

 なおここで皆さん気になると思うのですが薬の名前「キイトルーダ」。
薬が「効いとるだ!」って感じですね。。。というのは置いといて。

2003年07月 小野薬品工業と(以下「小野薬品」)と本庶先生オプジーボ特許出願
2006年 小野薬品と本庶先生、売上に応じた使用料を受け取る契約を締結
  第三者から実施料を得た場合1%(自社実施0.5%)の対価を本庶先生に支払う旨規定
2009年11月 特許4409430号成立
2011年 本庶先生から小野薬品にロイヤリティの見直し依頼あり。契約を根拠に拒否
2012年12月 特許5159730号成立
2014年 メルク社に対し「キイトルーダ」が小野薬品工業の特許を侵害しているとして提訴
2014年09月 本庶先生と小野薬品相良社長が面談。小野薬品から和解金の40%の受取の提案あり。
   (しかし「はした金」として本庶先生は拒否)
2017年01月 小野薬品にメルクが約710億円を支払う内容で和解。
2018年10月 本庶先生ノーベル賞受賞
2020年06月 本庶先生小野薬品に262億円の配分を求める訴訟を提訴
2020年11月 本庶記念基金設立
2021年09月 第2回口頭弁論
2021年11月 和解(京大の基金に230億円,本庶氏に50億円との報道あり)

 経緯を見てみるとなるほどという感じです。

(1)まず、特許が成立する前(2006年)に、本庶先生と小野薬品は実施料について1%で合意したようです。
 特許として成立していない状況や、どの程度の有効性があるのかが不明である状態であれば、確かにこのくらいの料率は見たことはありますが、さすがに1%は低いかな、とは感じます。原価割れの薬?って感じの料率ですね。

(2)ただ、ここで気を付けなければならないのは、オプジーボ(PD-1抗体)が癌治療剤として承認されるためには、負担の大きな臨床実験やそのための費用が莫大にかかる、ということです。「1%なんて低すぎる!」と言ってしまうのは早計かもです。
 発見したという事実は極めて大きいですが、薬として認可を受けるためにはとてつもない労力がかかることを忘れてはならず、そのことに対する小野薬品の寄与は無視してはならないところです。
 この辺りは多分、他の文献やこれからもう少し調べると妥当だったかわかると思うのですが、これはまた別の機会に。

(3)次に、2011年に本庶先生からロイヤリティ(実施料率)変更の申し込みがあったと。
 特許として成立したことや、有効性がわかってきたところで、見直しの依頼があったのでしょうね。
 で、小野薬品は契約を盾に断ったと。なるほど。
 個人の感覚で申し訳ありませんが、事情やその有効性がより明らかになったことで、確かに本庶先生の主張はありだと思います。
 一方で、企業としては契約している以上変えることができないと考えるのも普通に理解できます。
 なお、こういうときは、出願のときに「成立したら料率を再検討」とか「特別に利益が生じた場合には料率を再検討」のような条項をおまじないのように入れることを試みます。ただ、この条項は、あまり認めてもらえないことが多かった(むしろ殆ど)です。。。

(4)普通であればこれで終わってしまうところですが、転機がありました。
 2014年の小野薬品とメルクとの訴訟です。
 メルクとの訴訟で本庶先生の力が必要になりました。
 本庶先生の今までのうっぷんがここで晴らされるのか?といったところですね。

(5)そしてついに2014年、小野薬品から「40%」という条件を引き出せました。
 これについては裁判でも小野薬品の社長も認めています。
 個人的には裁判において、ここはすごい判断だったと思います。
 この発言を認めることで、元の契約があったとしても結構に不利になりますからね。
 通常、大きな企業は交渉において、決定権を有する者を直接交渉の場に出すことは少ないです。なぜなら、その場ですぐに判断を迫られ、それがすぐに会社としての決定になってしまうので、時間を稼いで念のため確認する必要があるためです(権限がない者であれば、言ってしまったとしても表見代理はともかく「その担当者が勝手に言ったようだが会社の決定ではない」ということが言えますので)。
 ただ、訴訟という状況と、何回も担当者から本庶先生に連絡してもらちが明かなかったということで、社長レベルでないとダメ、と判断したのでしょうが。
 書面で証拠が残ってしまっていたので認めざるを得なかったのでしょうかね?
 でも、本庶先生はこれを「はした金」といって突っぱねてしまいました。えっ?

(6)本庶先生が突っぱねたことにより、小野薬品は元の契約のまま履行しました。
 つまり、メルクからの710億円の和解金の1%でよいという解釈をしたわけです。
 会社としては「社長が言ったから」というだけで正式な契約もないのに40%(260億円以上)をポンと払うわけにはいかないですしね。

(7)そしてメルクからの和解金を受けて、本庶先生は残りの39%を支払うように要求したと。

  当初、このニュースを見たとき、失礼ですが「ノーベル賞を取った発明だから小野薬品に対して強気に出たのかな?」と思っていましたが、これはノーベル賞の受賞とは関係ないですね。

 また、1%のロイヤリティが40%に跳ね上がるって、今まで経験も聞いたことがないです。触媒のように、試薬レベルでは低く、プラントに導入されるときは高く、という話はありますが、それでもここまで変わるとは。。。
 薬という分野と、訴訟という事情の相乗効果なのでしょうね。

 

 ・・・なおここから先は、私として、あまり理解も納得もできない点のお話。

 メルクからの和解金710億円ですが、じつはこの特許は米国のBMSという会社にライセンスしており、710億円の75%はこのBMS社が、小野薬品は25%(145億円)しかもらっていなかったらしいです。

 つまり、小野薬品は145億円もらったけれども、280億円ほど今回の訴訟で和解金を払った(135億円程度損している)ということになるようです。

 ここで不思議なのが小野薬品とBMSとの関係です。

 小野薬品が本庶先生にライセンス料を渋るのは、自社の利益を最大化しようとする観点からわからなくはありません。
 でも、ライセンスしているとはいえ、特許権者である自分よりも、BMSのほうの取り分が多くなるような状態にするってどういう事情だったんでしょうかね?

 さらに、本庶先生には実施料1%でも渋ったのに、そのライセンス先(BMS)には75%って、確かに、本庶先生が聞いたら怒りますよね。というより怒らないわけがないように思います。

 で、更に、自分の取り分である25%以上の40%を本庶先生に支払うって言ってしまうところがまた訳が分かりません。15%の損が確定することになってしまうので。
 せめて25%の取り分の40%(全体の10%)ということであれば(訴訟費用を無視するとして)何とかまだ利益は確保できると思うのですが。。。

 なお、最近オプジーボ特許については、米国のがん研究の2人の米国人が発明者として加えるように米国連邦地裁に訴えていたとのこと。これはまた別の機会に。

2021年 関東地方発明表彰

 本日、関東地方発明表彰式に千葉県発明協会の理事長として出席しました。関東地方発明表彰は、発明協会が主催、関東甲信越の各発明協会が共催、文部科学省や特許庁等が後援する非常に由緒ある発明賞(今年で73回目)。

 場所はホテルメルパルク長野。久しぶりの新幹線移動。

 長野行きなので長野新幹線と思って探したところ、長野新幹線がなくて焦りましたが、よく考えてみると北陸新幹線に併合されていたんですね。昨年度まで普通に上越新幹線を使っていたのに何を見ていたんだと愕然。

 最近の新幹線は電源コンセントまでついており、パソコンを使うのに電池残量を気にしなくてよいのがすごく良い。スマートフォンのテザリングでネットにもつなげられるので、メールも見れるので仕事がはかどります(遅いけど)。

 前理事長から引継ぎ、私が参加するのは群馬、埼玉、千葉、神奈川、東京、長野と、数えてみたら今年で6回目になります。

 最初に賞状を読み上げたときは、記憶がないくらい緊張したのを覚えていますが、6回目にもなると緊張しますが周りを見る余裕がでてきているようです。人間の「慣れ」というのは本当に素晴らしい。

 来年は山梨県が担当とのことでした。

 受賞された皆様、おめでとうございました。

警告書と回答書

 お客様から「警告書が来たのでどう対応すればよいか」という相談を受けたりします。

 実質的に内容は「警告書」であることもあるのですが、「通知書」等の別の表題だったりします。

 ふつうは文末に「本書面受領から2週間以内に回答なき場合は、~法的処置を~」みたいなことが書いてあるので、受け取った側は相当焦ってしまいます。

 ただし、ここで気を付けるべきは「相手はこちらの情報をとりたいだけの場合がある」ということです。この場合、不必要に情報を与えてはいけません。カモネギ状態(ネギを背負ったカモ状態)になってしまいます。一方で、何も情報を与えないと、解決しないかもしれません。

 また、このような対応は実際のところ、ビジネスライクのようでいて、実は人の感情が大きく影響します。初動を間違えると感情がもつれて結構大変なことになります。お金ではなく、感情のレベルになってしまうともう大変。本来使うべき人とお金と時間を感情のために浪費することになってしまいます。

 また、理想を求めることは非常に重要ですが、現実的な落としどころというのも理解した上で進める必要があります。

 実際にやり取りをしていると、将棋を指している感覚に近いです。「相手がこう来たので、このレベルで返す。」「こう返しては相手を刺激しすぎるからまずい。」「ここは一気に反論の余地なく潰す内容で返す。」「次にこう返して来る可能性があるので、その主張をけん制しつつ刺激しない範囲で準備を匂わせる。」「ここが多分落としどころだからこんな表現とする」のように回答のレベルや内容を調整することが本当に重要です。一言一句や助詞の使い方に意味を持たせる必要があります。この匙加減が非常に重要です。

 また、代理人を使うことで、「代理人に任せてある」という一言でこれ以後の直接対応を避けることができます。

 経験上、このバランスが優れたうちの事務所をよろしくお願いします。という宣伝でした。

 

授業2021/11/09

 今日大学で授業を行いました。14回シリーズのうちの第5回目。

 今回は特許調査のお話。

 特許調査はおおむね下記3種類あるということを事例を用いてご説明。

 ①出願系調査
  特許出願等の出願を行う前に行う調査。
  同じものだと権利化できないので費用の無駄を省く調査のこと。
  ピンポイントで同じ公知例がないかを調べる調査。

 ②開発系調査
  これから新製品の開発などを行うときに行う調査。
  広い範囲にわたり、出願人、出願年、製品要素毎等において行う。
  マーケティングとして行う調査。
  広く浅く調べる調査。ただし気になるものはリストにして監視する。
  パテントマップの具体的なイメージの例について様々な例を用いて説明。

 ③侵害系調査
  開発の結果製品化する段階において、他社特許の侵害がないか調べる調査
  漏れがないよう、また権利の成立状況等まで調べる必要がある

 また、J-Platpatを用いた実際の調査について、ネットワークに接続して実演。

 反省点としては、侵害系調査の場合に請求の範囲に着目して判断するというところで、特許請求の範囲の機能について説明が不足していたのではないかという点、アイデア発表の後に今回の授業を行ってもよかったのではないかという点(つまり第6回と第5回を入れ替えてもよいのではないか)、実演はかなりマニアックな内容になるため、その事前準備が今回は足りていなかったかも。

 来年への反省です。