こだま国際特許商標事務所

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12月

ひまわりベンチャー育成基金

 公益財団法人ひまわりベンチャー育成基金が、千葉県内に事務所を置き新商品の開発を行う中小企業・個人事業者を対象に助成事業を行っています。

 上限500万円として通常300万円を交付してもらえるという助成金。特に、返済義務がないという点で素晴らしい。

 上期は概ね5月あたり、下期は11月あたりに募集があります。

 なぜこんな話をしたのかというと。

 ご相談いただいた期間がまさにこの締め切り直後だったため、「希望するのであれば、もう少し早く相談してくれれば!」という話。

 私のお客様には、支援を受けている企業様も少なくなく、どの程度であれば受けられそうかといったご相談、ご支援等の提案にも応じます。

 忘れないようにしようという自分への備忘録を含めて。 

クロスライセンス

 「クロスライセンス」という言葉があります。

 今日はこの話を。 

 

 「クロス」とは「交差する」という意味です。

 つまり、「クロスライセンス」とは、互いにライセンスするということを意味します。

 このようなライセンス形態は、同業者間でよく行われるライセンス形態であり、特に大企業間において行われることが多いです。

 一般に、特許権等の知的財産権を保有している場合、他社がその知的財産が侵害されていると考えた場合、警告しますよね?

 するとどうなるでしょうか? 当然、相手(他社)が同業者で、知的財産権を同様に多数保有している場合、保有している知的財産権の中から反論してくることが予想されますよね?

 この結果、互いに特許権を侵害しあう仲になってしまいます。泥仕合の様相を呈してきます。

 そこで、泥仕合を避けるべく、互いに知的財産権を使えるようにしよう、というのがクロスライセンスです。

 ただし、完全に互いにフリーというわけでは無く、保有する特許の質や数に応じてどちらが強いかが交渉によって決め、ライセンス料が発生したりしなかったりします。

 そのため、企業の知的財産部は質だけでなく、数についてもこだわります。

 

 

 ところで、このようなクロスライセンスが殆ど必要ない法人があるのを知っていますか?

 それは大学等の研究機関です。研究機関は、研究をすることで特許権等を出願及び保持し、その研究及びその成果を収入源の一つとしており、製品開発を行っていません。

 すなわち、権利主張をされた企業は、カウンターを打つことができないのです。

 この意味で、研究機関は非常に強い立ち位置にいるといえます。

 ただ、研究機関の場合、「公的な機関が侵害で訴えるなんて怪しからん!」という公益的な意識や、研究機関の規模で侵害訴訟や無効審判に耐えられる経済規模かというと難しいところがあり、積極的になり切れないのでしょうね。

 ここの辺りについては、日本の大学の知的財産活用の根本的な問題をはらんでいるのですが、これ以上話すとネガティブになるのであまり良くないのかな、ということで、今日はここまで。

飲食店と商標(テイクアウトとイートイン)

 

 2019年10月に消費税率が変更され、テイクアウト(Take-Out:お持ち帰り)とイートイン(Eat-In:店内お召し上がり)の違いが消費税率の違いに反映される(軽減税率が適用される)ことになりました。

 イートインそのままであれば10%の消費税率ですが、テイクアウトであれば8%となるため、テイクアウトで購入してイートインスペースで食べた場合はどうなるの?等の議論が生じていますね。。

 実は、商標権においてもイートインとテイクアウトで違いがあるのです。

 お客様とお話しするときに、この話に触れる機会が結構多くありますので、

 今日はこのお話。

 

 まず、このお話を分かりやすく説明するには、マクドナルドの「ビッグマック」の例がわかりやすいかもしれません。

 「ビッグマック」は、マクドナルドのハンバーガーの有名なメニュー名ですね。ビッグマックは世界中のマクドナルドで販売されているため、このビッグマックの価格を比較することで各国の経済力を図ることができるといわれているらしいです。

 ビッグマックは、テイクアウトも可能ですし、イートインも可能ですね。

 

 ・・・さてここで少し、ビッグマックから離れて、商標の一般論を。

 商標権の範囲は、登録される「商標」と、その「指定商品又は指定役務」の組み合わせによって定められます。

 つまり、指定商品や指定役務をどのように定めるかが、その権利範囲を定めることになります。

 ここで「商品」はイメージを理解するのに、特に問題はないと思います。

 一方、「役務」はあまり聞きなれない言葉だと思いますが、「役務」とは「サービス」のことです。日本の法律は原則としてカタカナ(外国語)は使用しないため、サービスのことをわざわざ「役務」と表現します。

 つまり、商標法は、「商品」なのか「役務」なのかを区別し、商標を保護しています。

 

 ・・・ここで、先ほど簿のビッグマックの話に戻りますと。

 テイクアウトは商標法的には「商品」と把握されます。これはイメージしやすいですよね。具体的には指定商品「ハンバーガー」です。

 一方、イートインは、商標法的には商品ではなく、「役務(サービス)」と解釈されます。具体的には指定役務「飲食物の提供」です。でも「えっ」て思いますよね?

 この解釈の理由はざっくりいうと「『店内において飲食物を提供する』といった行為がサービスである」、と認識されるからです。

 よって、自分の商品が、テイクアウトなのか、イートインなのかを認識して指定商品を選択する必要があります。 

  この概念は、消費税率が上がる前は説明しにくかったのですが、消費税率が上がって軽減税率が導入されたことで、理解していただきやすくなりました。

 両方の形態がある場合は、両方を指定する必要がありますが、指定する商品や役務の区分によって料金が変わってきますので、お金を少しでも抑えたいという場合、どちらを優先すればよいかというと。。

 

 

 ちなみに、イートイン(Eat-in)は和製英語で、外国では通じないようです。

販促コーディネータ

 お客様からご相談いただいた案件に関し、販路拡大を希望されている方がよくいらっしゃいます。

 その場合、役に立つのが(千葉県であれば)産業振興センターの販路アドバイザーの方々です。

 私は、お客様から「出願したけれども売り先などの相談はできる?」といったご相談を受けたとき、私も一応お客様同士のご紹介等のご相談に乗りますが、内容によっては「その道の専門家のアドバイスはいかが?」とお勧めすることもあります。

 産業振興センターに直接ご相談いただくこともできますが、私も産業振興センターの知財戦略アドバイザーとしての立場もあるため組織内での横のつながりでご紹介ができます。

 時間の都合が合う限り(効率性を損ねない範囲で)、私も同席させていただき、その戦略のお手伝いをしています。

 今年後半分で、現在3社ほどご紹介させていただいています。

 そのうちの1件は、実は販売促進の問題ではなく、社内の別の問題ではないか、ということがあり、観点を変えて相談してみるのもよいものだな、と感じている今日この頃です。

 ご相談いただいたとき、気づく範囲でご提案はさせていただいているのですが、出願だけでなくこの後を見越した伝手でのご提案もできますよ、というお話でした。 私の力ではないですけどね。

分割戦略

 先日のニュースで、特許侵害のニュースがあったので、今日はその話。

 ただ、特許の内容の話は別の機会に譲るとして、侵害の問題というよりは出願戦略の話。

グリー、スーパーセルと特許侵害で和解

 グリーは17日、フィンランドのゲーム大手スーパーセルと特許権侵害の訴訟で和解したと発表した。
 グリーはスーパーセルが米国で配信している複数のゲームで特許権を侵害されたとして、損害賠償を求めていた。和解金など詳細は明らかにしていない。
 グリーは2019年2月以降、スーパーセルが米国で配信しているゲーム3件で特許権を侵害しているとして、損害賠償を求めて合計7件の訴訟を提起していた。
 5月には3件の訴訟について勝訴し、損害賠償金9210万ドル(約100億円)の支払いを命じる判決が下っていた。
 2社は今回、7件全ての訴訟で和解した。
 和解金など和解契約の内容は非開示だ。
 グリーは22年6月期の業績に与える影響は軽微としている。

引用:日本経済新聞 2021年8月17日
URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC176EX0X10C21A8000000/

 グリーの特許を調べてみると、複数の特許で複数の裁判が継続していたのですが、実はその特許の根っ子は殆ど一緒。1件の特許を複数に分割して権利化しています。

 これは、企業の特許部の経験から言うと、実は当然だったりします。むしろこの金額の訴訟では足りないくらいかも。

 特許査定や拒絶理由が通知されたときに、お客様に「分割出願しますか?」という問い合わせを行わせていただくのですが、そのときよくお客様から「分割出願の必要性ってなに?」といったご相談いただきますのでその理由についてご説明を。。。

 「分割出願」とは、1つの特許出願に複数の発明が記載されていた場合、出願を分割して別々の出願として特許庁に審査してもらう出願のことを言います。

 ここで「複数の発明」と聞くと、一つの特許出願に冷蔵庫と掃除機といったように全く違う発明を二つ記載してしまうくらいのイメージをしているかと思うかもしれません。

 しかし、実はもっと微妙なところが違うだけで「別の発明」として認定されてしまいます。ぱっと見、違いが殆ど判らず、ほんの一言違うだけでも別発明として分割出願している例が多くあります。

 どうしてこのようなことをするのか?これには理由があります。 

 項目から説明すると、私としては下記が理由として挙げられます。

(1)ライセンスや警告等に対する保険
(2)無効審判を請求されたときの保険
(3)交渉時の件数稼ぎ
(4)権利化における保険

(1)ライセンスや警告等に対する保険
 特許権を成立させるとその内容は確定します。しかし、第三者にライセンスをしようとする場合や、警告をしようとする場合、その確定させた内容では不十分な場合があります。
 弁理士や出願人は、当然、あらゆる可能性を想定して権利化を図るのですが、それでも実際のケースではこの想定を外れてしまう場合が少なくないのです。
 しかし、一度確定した権利範囲は広げることができません。そうすると警告やライセンスができなくなってしまうことがあります。
 一方、分割出願を残し、これについて権利化前の「出願状態」で保持していた場合、権利化確定前ですので、上記の範囲内に権利がなるように比較的自由度高く補正ができます。
 つまり、権利化時には想定できなかった範囲に権利範囲を修正することができるよう、保険として分割出願を残しておく、という戦略があります。
 ただ、いつこのような状況になるかわからず、審査の進捗も審査官次第のため、タイミングが合わない場合はこの戦略は無駄になることがあります。
 さらに、これを無駄に終わらせないよう、子、孫、ひ孫・・・のように繰り返すということもあります。
 実際、この分割出願の戦略をとった結果行った事件も結構あります。この話はまた別のときにでも。

(2)無効審判を請求された時の保険
 特許権が成立した場合、公報が発行され、公衆に公開されます。
 しかし、この特許を邪魔だと思った人はどうするでしょうか?
 邪魔だと思った人は「無効審判」というものを請求して、特許をつぶそうとします。
 このとき、複数の特許権が存在していた場合、その全てに対して無効審判を行わなければなりません。
 そしてそのそれぞれ権利化のポイントが微妙に異なりますので、同じ証拠や論点で無効にできるとは限りません。
 一言でいえば、「どれか残るだろう」戦略ですね。

(3)交渉時の件数稼ぎ
 これは大企業向けの戦略ですが、ライセンス等の契約交渉において、互いに保有する特許の数が多数の場合、1件1件の内容を精査することは困難です。
 このような場合、代表的な特許数件を互いに発表させてその強さを競わせるとともに、副次的に特許の件数を考慮して条件を定めることがあります。このような場合に、件数を増やしておくことで、優位な立場になろうという戦略です。
 企業にとってみれば、すでにある特許出願を複数に分割するので明細書を改めて初めから作成する手間も必要がないため、非常にお得です。特に外国の場合、翻訳料が殆どかかりませんので、手軽に件数を増やすことができます。
 ただし、この戦略はあまり褒められた戦略ではありませんけどね。

(4)権利化における保険
 これは出願の段階での保険になります。特許出願をすると拒絶理由が通知されます。出願した発明を狭めれば特許権として成立することがわかっているけれども、広く権利化しておきたい、ということがあります。このような場合、広い状態で粘ってしまうと、すべてが拒絶されてゼロになってしまう可能性があります。このような場合、成立する可能性が高い狭い発明についてはそのまま権利化させる一方、広い部分については別の発明として別の特許出願として別に審査してもらう、ということが考えられます。これが権利化における保険です。

 以上が現時点において簡単に考えられる理由ですが、個別事情によって異なりますので、ご注意ください。

 当事務所では、いろいろな失敗事例(と成功事例?)を含めてご相談に乗りますよ、という宣伝でした。