契約と日本人

日本人と契約の「よくある相談」の時間です。

弁理士の仕事は「弁理士法」という法律に、特許などの知的財産に関する契約の代理や相談ができると記載されていることもあり、出願だけでなく、契約の相談を受けることが多くあります。

で、契約を見るときに、いろいろな場面を想定して、細かい主張を入れようとするのですが、「ここまで書いてしまうと失礼になってしまうのでは?」といったお客様の反応や、私にも心の葛藤が生じます。

それは、実際に契約というのは、相手の不義理な行動があった場合の罰のような条項を入れるのがそもそもの目的の一つなので、そのような行動があった場合を規定しようとすると、相手側から「俺を疑っているのか?」や「細かいこと言ってんじゃねーよ」のような反応を受け、お客様側もこれから行おうとする商売がむしろうまくいかなくなってしまうのではないか?といった気になってしまうためです。

そのため、細かい条項や、相手の不義理な行動を予測した条項が入れにくなり、最低限の条項のみ規定し、後は「別途協議」を希望する人もいます。こういう状況をみると、日本人というのは、互いの信用を重んじて仕事を行おうという傾向が強いところが良い点なのだな、と感じています。

ただ、別途協議だけにして契約を進めた場合で、揉めてしまうと、途端に苦しくなります。なんせ罰を規定していないのだから。

そのつらい経験をもとに、少しずつ相手方への失礼にならないよう細心の注意を払いながら交渉するというのはなかなかに大変で、法律的な解釈よりも、こっちの方が神経を使います。契約は、法律的な知識よりも、この相手とのバランス感覚の方が特に必要なようです(私が媒介又は代理で交渉される方でこのブログを読んでいただけた方には、是非とも私の苦悩をご理解いただけますと幸いです!)。

心を強くするための方法は?、もう少しうまいやり方があるのでは?、と悩んでいる毎日です。どうすればよいでしょうか?

・・・いつの間にか「私の相談」になってます?

2020年10月16日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

知財セミナー

久しぶりの更新です。

時すでに遅しなのですが、昨日開催のセミナーで講師を担当しました。最近のコロナ禍でセミナーがWebでの開催がメインとなり、事前に動画を作成し、Youtubeにアップし、日時を限定して公開する、というセミナーでした。

どの程度見ていただけるのか不安でしたが、意外に見てもらえる人が多くてほっとしています。視聴いただいた方には大変感謝しております。ありがとうございます。視聴いただけなかった方にも次回以降、ご都合のつく場合は是非見ていただければと思っています。

事前申し込み者のリストを拝見したのですが、なんと千葉のセミナーであるにもかかわらず四国の方にも視聴申し込みをいただけました! 今までの対面のセミナーでは考えられなかった状況です。

なお、私の担当分の内容としては、商標の事例をもとに、商標制度の概要と、どのような場合に商標の出願を考えていけばよいのか、という25分程度のお話でした。

・・・見てほしいとは思っている一方で、自分の話している動画を見るというのは何とも言えず恥ずかしい気持ちになります。慣れなければ。。

2020年10月15日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

「チバニアン」商標

有名な言葉がでてくると、必ずと言ってよいほど出てくる問題。

「関係のない誰かが勝手に出願し、登録してしまう問題」

昔は「阪神優勝」、最近は「PPAP」や「チバニアン」が騒がれていますね。
そこで、弊所の存在する千葉でもあるこの「チバニアン問題」について少し。

1.チバニアンとは?
 ラテン語で「千葉時代」という意味。
 千葉県市原市の養老渓谷にある地層が形成された時代の仮の名称。
 この地層は、地球の磁場が反転したことの証拠といわれており、地質学上非常に重要。
 現在、この時代が正式に認定されるよう国際地質科学連合に申請中。
 ただし、イタリアにライバルがおり、イタリアの同時期の地層を元に命名を争っているところ。
 命名されれば、千葉の地域創生に非常に大きな影響をもたらすこと間違いなし!!!

2.商標登録
 一方、「チバニアン」商標は、2016年8月に出願され、2017年3月に登録。
 指定商品は「印刷物」や「おもちゃ」、「貴金属」等
 商標権者は、個人。
 なお、「弁当」「清涼飲料」等については、2017年6月に出願しており、出願中です!!懲りていない!!

3.登録されてしまうと?
 登録されてしまうと、「チバニアン」を付した印刷物や、おもちゃ、貴金属等が販売できなくなります。
 おそらく、チラシなどに「チバニアン」と書いた場合に、警告して使用料を求めたいのですかね?

 そしてこのような場合、よくある質問が、「なぜ登録できてしまうの?」ということ。
 出願された商標を拒絶するためには、様々な条件があります。今回の問題に関係すると思われるものは、ざっくり、
 (1)商品の産地、販売地等を普通に用いられる方法で表示するもの
 (2)既に登録されている商標と類似するもの、
 (3)公序良俗に反するっもの
 (4)既に他人の周知な商標であるもの
 (5)不正の目的があるもの
 ということになります。これらに該当した場合は、登録できません。

 しかし、ここで、各々解説していくと、
 (1)は、「チバニアン」は産地等だからダメなのでは?と思いますが、
 「チバニアン」は時代のことですので、産地などではないので、該当しにくいのです。

 (2)は、既に登録がないようだったので、これも適用が難しい。

 (3)これは、放送禁止用語のようなものであり、「チバニアン」は公序良俗とはなかなか言いにくい。
  公の秩序を乱しているという主張はできると思いますが、なかなか審査官は指摘しにくいようです。

 (4)これは、多少周知になっているかな、と思いますが、
  「他人の商標」とまで明確にいえるものではないので、
  この条項の適用も難しい。

 (5)これが最後の砦ですが、「不正の目的」って、意外に主張が難しいんです。
  この不正の目的があると何となく感じていても、審査官は明確な証拠を持って立証できないからです。

  なので、結局、登録にしてしまう。ということになったのでしょうか。
  
  現在、商標の取り消し審判が継続しているようですので、
  生暖かい目で見守りたいと思います。

2017年9月23日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

授業

10月から大学で授業を担当します。

特許明細書を読んで、特許文献を調べて、特許を実際に書いてみる、という授業。

一人ずつ添削するため時間と手間がかかる授業で、
あまり多人数を見ることができず、迷惑をかけることも多いこと。
そもそも今年受けてくれる人が何人いることやら。。。。

大学が研究と教育をやっていればよいと考えていた時代は今は昔。

最近は、大学の技術移転活動も大学の重要な使命となり、
大学の先生が自分で事業を起こすことも珍しくない時代。

特許は権利を取得して他社からの模倣を防止する有効なツールであるだけでなく、
自分の事業の優位性を示すバロメータにもなります。

特許は主役ではないですが、読み方や多少の書き方は知っていないといけないこと。
いいようにされてしまわないように。。。

2017年9月22日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

アルマゲドン!!(宇宙空間での特許権)

久しぶりに映画「アルマゲドン」を見ました。

地球に衝突する軌道にある小惑星が発見され、
ハリー(ブルース・ウィルス)率いる技術者たちが、
その小惑星に乗り込み、破壊して地球を救う、という話。
涙なしには語れません!!

特に、ハリーやA.J.(ベン・アフレック)たちが一列に並んで歩き、宇宙船に乗り込む場面。
超名場面です!
様々な映像でオマージュされていますしね!!

…オマージュと著作権の話はさておき、
やはり、私がちょっと知っている分野の、特許の話。

小惑星での作業に超頑張った作業船「アルマジロ」
そのアルマジロに特許問題があったようで、ハリーが「俺のアイデアを盗んだ」という主張をするのですが、
NASAの研究者は「宇宙に特許はない」と言い放つのです。
なるほど。

実はこのシーンは企業時代の個人的な思い出も。

私の先輩が、企業の採用面接面接で、「宇宙空間に特許権は及ぶのか?」と、応募者(後の私の「後輩」)問いて、
その後輩が、アルマゲドンのこのシーンにピンときて「及びません!!」と答え、アルマゲドンの話で意気投合したという話。

で、久しぶりに確認を取ってみたのですが。。

米国特許法第105条
(a)合衆国の管轄又は管理の下に,宇宙空間において,宇宙物体又はその構成要素に関して行われ,使用され又は販売されたすべての発明は,本法の適用上,合衆国内において行われ,使用され又は販売されたものとみなされる。~

…んん? あれ?

適用されています!!!

映画は映画として楽しむもので、真実ではないこともあるのでそのままうのみにするのは危険!!
(当たり前!!)

というお話。

2017年9月21日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

特許と実用新案の「進歩性」の違い

よく
特許は「大発明」、実用新案は「小発明」といわれます。

そして、これを象徴する言葉に「進歩性」というものがあります。
特許では、登録するために
「容易に発明をすることができなかったこと」が必要であり、
実用新案では、有効性を主張するには
「極めて容易に発明をすることがでなかったこと」が必要と言われています。

すなわちこの「極めて」という言葉が、
実用新案を小発明、特許を大発明、というように結び付けているのでしょう。

でも、でもですね、
実は、特許法でも、実用新案法でも、侵害された場合の賠償額の算定に明確な違いがないんです。
つまり、同じ賠償額をとれる可能性があるってことなんです。

であれば、当然、取りやすい権利のほうがいいですよね?
でも、実際はそうなっていない。
むしろ、現在の(実質的無審査の)実用新案登録制度になってから、
少なくなってきているんです。

これは、結局、上記の理由から、特許庁で審査されても、
進歩性に違いがないからなんでしょうね。
(しかも登録になって権利範囲が確定になっているのでつぶされやすい)

同じ効果であれば、実質的に同じ要件を課しているのだと思います。

弁理士として、これを言ってもいいのかな?というところはありますが、

現在、現実的にはそうなっていると解釈せざるを得ないんです。

2017年9月17日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

【メモ】サルの自撮り写真の著作権

米国での著作権のお話。

おサルさんが自撮りした写真の著作権がおサルさんにあるか否かというお話。

2017年9月12日 「Yahoo!JAPAN ニュース」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170912-41237082-bbc-int

上記の結論としては、
「おサルさんには著作権保護が適用されない」と判断されました。

日本では自然人(人間)以外の動物は権利能力がないとされており、
常識からすると、認められないのは当たり前と感じる話。

実際に、鹿児島地裁平成7(行ウ)1において、
林地開発に際し、
その土地にいる動物(アマミノクロウサギ)の権利が侵害されているとし、
環境NGOがその動物の権利について代わって訴訟を提起したことがあるそうです。
たしかに、この事件では、日本では動物に原告適格が認められず、負けています。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/675/015675_hanrei.pdf

では、アメリカでは訴訟になっている。
そう規定されていないのか?という疑問があるのも事実。

でも、でもですね、
日本の民法もそうなのですが、
「動物に権利を与えてはならない」ということはどこにも書いていないんですね。
環境NGOは「あるという解釈があるべき」と考えて、訴えたのでしょう。
決して、法律を知らないで起こしたということではないのです。

また、上記日本の判決例では、原告適格は認めていないものの、最後に、
「自然の保護に対し真率であり、自然をよく知り、自然に対し幅広く深い感性を有する環境NGO等の自然保護団体や個人が、自然の名において防衛権を代位行使し得る。)という観念は、人(自然人)及び法人の個人的利益の救済を念頭に置いた従来の現行法の枠組みのままで今後もよいのかどうかという極めて困難で、かつ、避けては通れない問題を我々に提起したということができる。」
と評価しています。

完全に門前払いというわけではないんですよね。

また、上記おサルさんの例でも動物愛護団体「PETA」が起こしており、
その目的も上記の地方裁判例と大体同じなのです。

この事件は、
「あまりに当たり前なのに米国ではなぜ?面白い国だ!!」というのではなく、

世の中の流れ(例えば自然を守るべき等)があり、
その流れをよどみなく進めるために、
広く権利を認める等できうる限りその流れに沿うようにしていく、
そのための努力の痕跡を感じ取ることに面白さがある、と思います。
(おそらく皆さんも記事を読んだときこのように感じたと思います。)

一方で、
近年のAIの台頭により、
AIが考えた文章などが著作物になるのかという議論も出るかと思います。

このような場合、背景に自然保護等の公益的・社会的要請がなければ、
単に権利能力だけの議論に落ちる可能性が高く、
逆に、公益的・社会的要請が背景にあれば、
認められる可能性もあるのではないかと思います。

もちろん、AIそのものを人として認め、権利能力を認めるか否かの議論も生じると思いますが。

取り留めはないのですが、

1.日本でもすでに同じようなことが考えられていた
2.滑稽な話のように見えても、実は奥が深い

 というお話でした。

2017年9月15日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

「℃」の英語表現

翻訳を確認していて、ふと思ったことです。

「℃」という表現、実は日本語フォントで、全角一文字です。
ファイルのやり取りでMicrosoftワードが世界共通的に使用できるとしても、
外国では日本語フォントを入れてくれていない場合もあると思います。
文字化けは避けなければならないこと。
どうすればよいのか非常に迷ったことがあります。

単に”degree”でよいのかと思いましたが、
米国では華氏(°F)を使う場合もあるので、
“degree celsius”としておけばよいのでしょうが、長くていけません。
特に、”m”や”kg”といった単位はそのまま単位記号ですので
℃だけ”degree celsius”では統一性がなく、かっこよくありません。

特に℃(摂氏)は非常に一般的な単位ですので、使いたい。

そこで調べてみたところ、以下の方策があるようです。

(1)英語サイトを確認してそのままコピーする。
 非常に簡単です。こうすれば楽ですよね。
 自分のお気に入りのページをブックマークに入れておけばよいこと。

(2)Alt +0176を使う+”C”をつける
 これは、テンキーで「Alt」キーを使用し、テンキーで0176を入れる。
 すると、”°”が出るので、これに半角の「C」をつける。

簡単そうでいて、なかなか手間がかかります。

2017年9月14日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

特許出願の審査請求料等の減免について

特許出願においては、費用減免制度があります!!

例えば、特許出願において審査請求を行うと、
請求項5項の場合、14万円位かかります。
しかし、小規模企業様の場合、この費用が1/3程度になります!
この結果、5万円を切ることになります。

ただし、この制度は時限的な措置ですので、
2018年(平成30年)3月末までに行う必要があります。

軽減を受けたいと考えている方は、それまでに!!

2017年9月13日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin

50000km【2017年9月】

先ほど車の走行距離を確認したところ、
50000kmを超えていました。

購入したのが2015年11月でしたので、
約22ヵ月となります。
50000km÷22月=2272km/月
2272km/月÷31日/月=73km/日
一日当たり73kmくらい移動している計算です。

この距離は概ね片道35km程度だとすると、
千葉の事務所から
西は東京駅くらい、
南はアクアラインを過ぎて君津くらい、
東であれば九十九里浜の蓮沼公園くらい

私の場合、実は事務所で作業する時間は少なく、
この距離はお客様のところにお伺いしていることが殆どですので、
実際、結構な距離と感じました。

距離が長ければよいわけではないのですが、
お客様のところに足を運び直接ご意見をうかがう、
これが私の信条です。

もちろん、自家用車は別で、業務専用車の話です。

2017年9月12日 | カテゴリー : つれづれ | 投稿者 : admin