捕まるレベル

 どのあたりまですると捕まってしまうのかについて、一つ気になるニュースがあったので今日はこの話を。

 


「鬼滅」ケーキ販売疑い書類送検 渋谷34歳女性、インスタ通じて

 人気アニメ「鬼滅の刃」のキャラクターのイラストを描いたデコレーションケーキを販売したとして、警視庁向島署は9日、著作権法違反の疑いで、東京都渋谷区に住むケーキ販売業の女性(34)を書類送検した。
 署によると、写真共有アプリ「インスタグラム」を通じて1個1万3千~1万5千円で販売し、2019年7月からの2年間で約650万円を売り上げたとみられる。「人気アニメのキャラで作れば売れると思った。犯罪と分かっていた」と供述している。
 客は注文する際に希望のイラスト画像を送信していたという。インスタグラムで気付いた制作会社が2月、署に被害を相談した。

引用元:共同通信社 2021/11/9(Tue)
URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/555f56db835f98dc4b97219d8aaccd00afad2b14

 著作権は、私的使用の範囲内であれば、複製することができます(著30条)。

 しかし、上記の例では、インスタグラムとはいえ、業として販売をしている実態が明らかになったので捕まったように思えます。

 しかし、ここで気になるところは「客は注文する際に希望のイラスト画像を送信していた。」というところです。

 すなわちこのケーキを販売した女性(以下単に「女性」)は、あくまで「客の指示に従ったに過ぎない」「客の個人的な範囲の使用にすぎない」と主張できる可能性が残るということです。

 今回の問題は、いわゆる書籍のデータ取り込みである「自炊」と同じような問題をはらんでいると思われます(自炊の話はまた後で)。

 今まで自炊業者が摘発されていた場合は、取り込んだデータを販売してしまっているなど、かなり悪質なものでしたが、今回のケースは、書籍のようにデータとして複製が多数残るようなものではなく、顧客からの注文を受け、ケーキのようにその注文客だけが消費することが明らかな食べ物であるにもかかわらず捕まってしまったということです。厳しく判断されているのかな、と思います。

 権利者が度重なる警告を行っていたのにもかかわらず一切聞く耳も持たず続けていたのかもしれませんし、キャラクタのケーキということを前面に出した営業を行っていた等の事情があったなど、悪質性が高かったかもしれません。この点は事実として非常に気になります。もし、事前の警告もなくインスタの内容もかなりマイルドだったとしたら。。。正直ガクガクブルブルですね。

 いずれにしろ、著作権の場合は、複製やSNS等に乗せた場合に侵害を問われる可能性が一気に高くなり、個人事業で細々とやっているから許される、ということは一切なく、いきなり侵害したとして捕まってしまうリスクが高いものである。ということを感じる案件でした。

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