店名と商標出願のタイミング②

 昨日からの続きです。

 では「いつのタイミングで商標登録出願をすべきか」ということですが、ベストなタイミングについて説明します。

 はい、ここで問題です。商標登録出願のタイミングは、下記のいずれが良いと思いますか?

 

 ①開店後すぐ

 ②開店直前

 ③開店半年以上前

 

 結論としては、少し厳しいですが③になります。もう少し説明すると、商標権として成立することが分かってから、ということになります。

 ①の「開店後すぐ」は、登録になれば結果オーライですが、もし登録にならなかった、具体的には、「他人の商標権の存在によって拒絶されてしまった」とするとどうなるでしょうか。

 この場合、他人の商標権を侵害しているということになるため、下手するとすぐに店名を変えなければならなくなります。折角看板を作ったのに変えなければならなくなります。

 仮に、そのまま黙って使うという選択肢もないではないですが、ばれた時のリスクがでかすぎます。

 よって、①は、好ましくはありません。

 実際、「明日開店しますが、店名について知り合いから、『商標大丈夫?』と聞かれたので出願したい。」との相談を受け、出願を前提に商標調査を行ったところ、同一の商標が見つかり、問題になった、ということは結構あります。

 

 上記の②「開店直前」はどうでしょうか。これも結局は①と同じです。また、商標登録出願は、出願してから審査され、その結果が出るまで半年以上かかります(2022年現在)。

 つまり、ダメージとしては同じ感じです。

 つまり答えは、上記の通り③となり、商標登録出願を行い、審査を受けて、登録になるということが分かった後で、その店名にGoサインが出せるということになります。

 ただ、半年前なんて悠長なことを言っていられないよ、というのもまた事実。

 このような場合は、「早期審査制度」を活用して、通常半年かかる審査を1~2か月程度まで縮めることができます。そうすれば②により近づけることができます(早期審査制度のお話はまた別の機会にします)。

 なお、店名を半年前に決めて商標登録出願をしたのに拒絶されたらどうする?ということもあります。また出しなおすの?という疑問もあるかもしれません。

 このような場合は、複数の候補をあらかじめ出願しておき、優先順位の高いものが登録になった場合は、その次以降の候補は放置する(これ以上費用が掛からないようにする)、ということで費用を削減するという手もあります。

 この候補を絞るため、できる限り、早期に弁理士にご相談いただければ効率的な戦略が練れますね、というお話です。

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