飲食店と商標(テイクアウトとイートイン)

 

 2019年10月に消費税率が変更され、テイクアウト(Take-Out:お持ち帰り)とイートイン(Eat-In:店内お召し上がり)の違いが消費税率の違いに反映される(軽減税率が適用される)ことになりました。

 イートインそのままであれば10%の消費税率ですが、テイクアウトであれば8%となるため、テイクアウトで購入してイートインスペースで食べた場合はどうなるの?等の議論が生じていますね。。

 実は、商標権においてもイートインとテイクアウトで違いがあるのです。

 お客様とお話しするときに、この話に触れる機会が結構多くありますので、

 今日はこのお話。

 

 まず、このお話を分かりやすく説明するには、マクドナルドの「ビッグマック」の例がわかりやすいかもしれません。

 「ビッグマック」は、マクドナルドのハンバーガーの有名なメニュー名ですね。ビッグマックは世界中のマクドナルドで販売されているため、このビッグマックの価格を比較することで各国の経済力を図ることができるといわれているらしいです。

 ビッグマックは、テイクアウトも可能ですし、イートインも可能ですね。

 

 ・・・さてここで少し、ビッグマックから離れて、商標の一般論を。

 商標権の範囲は、登録される「商標」と、その「指定商品又は指定役務」の組み合わせによって定められます。

 つまり、指定商品や指定役務をどのように定めるかが、その権利範囲を定めることになります。

 ここで「商品」はイメージを理解するのに、特に問題はないと思います。

 一方、「役務」はあまり聞きなれない言葉だと思いますが、「役務」とは「サービス」のことです。日本の法律は原則としてカタカナ(外国語)は使用しないため、サービスのことをわざわざ「役務」と表現します。

 つまり、商標法は、「商品」なのか「役務」なのかを区別し、商標を保護しています。

 

 ・・・ここで、先ほど簿のビッグマックの話に戻りますと。

 テイクアウトは商標法的には「商品」と把握されます。これはイメージしやすいですよね。具体的には指定商品「ハンバーガー」です。

 一方、イートインは、商標法的には商品ではなく、「役務(サービス)」と解釈されます。具体的には指定役務「飲食物の提供」です。でも「えっ」て思いますよね?

 この解釈の理由はざっくりいうと「『店内において飲食物を提供する』といった行為がサービスである」、と認識されるからです。

 よって、自分の商品が、テイクアウトなのか、イートインなのかを認識して指定商品を選択する必要があります。 

  この概念は、消費税率が上がる前は説明しにくかったのですが、消費税率が上がって軽減税率が導入されたことで、理解していただきやすくなりました。

 両方の形態がある場合は、両方を指定する必要がありますが、指定する商品や役務の区分によって料金が変わってきますので、お金を少しでも抑えたいという場合、どちらを優先すればよいかというと。。

 

 

 ちなみに、イートイン(Eat-in)は和製英語で、外国では通じないようです。

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