ライトニング端子

 

9月のニュースですが、規格とクローズ戦略の話として面白そうだったので。

EU スマホなどの端子USB-Cに統一へ

 EU(=ヨーロッパ連合)は23日、スマートフォンなどの電子機器に使う充電器の端子を「USB-C」に統一する方針を発表しました。
 これはEUの執行機関であるヨーロッパ委員会が発表したもので、域内で販売されるスマートフォンやデジタルカメラなどの充電機器の端子をUSB-Cに統一するとしています。
 ロイター通信によりますと、これにより利用者の利便性が向上するほか、充電器やケーブルなど年間およそ1000トンの電子ゴミを減らせるとしています。
 スマートフォンの充電端子を巡っては、アンドロイドOS端末の多くがUSB-CやマイクロUSBを採用する一方、アップル社のiPhoneは「ライトニング」端子を使用していて、EUはかねて規格の統一を求めていました。
 今回の発表を受け、アップルは「技術革新を妨げ利用者の利便性を損なう」と反発しています。

引用先:9/24(金)日本テレNEWS24(NNN)

 このニュースを見て思うことは、
現状のスマートフォン市場は「Apple」vs「それ以外」という状況で、
Apple以外の勢力がAppleを排除するようにしたんだなということでしょうか。
まあ、国がの機関が乗り出しているところもすごい。

 ここで、考えるのがクローズ戦略による課題ということです。

 Appleはライトニング端子について特許権等を取得しており、
基本的にはAppleやそのライセンスを受けた者しか製造できません。
 ライトニングについて特許等調査を行ったことがあるのですが、多数出願されています。
 これが知的財産権を利用した「クローズ戦略」です。

 クローズ戦略の利点は、
 優れた技術を独占することにより他社製品と差別化し、
付加価値を増大させることで利益率を高くすることができること、
  と言われています。
 要するに、競合との差をはっきりさせ、価格競争に巻き込まれにくくなると。

 ですが、特許を取得し、ごく限られた者のみがその特許発明を実施できるとするクローズ戦略は
多数決に負ける」ということです。

 では、どうするのか?と考えるのですが、まずは味方を増やすことを考えます。
 具体的には、保有している特許を(競合に)開放し使用してもらえるようにすることです。

これが「オープン戦略」ということになります。

 オープン戦略の利点は、味方を増やすことで市場を拡大させることができ、開発費用等の低減や上記の多数決の論理による排除のリスクを下げることができるものです。ただ、クローズ戦略とは異なり、価格競争に陥りやすく、付加価値をつけるのが難しくなります。

 オープン戦略を確固とするためには、競合する連合体が出てこないようにすることも重要です。
つまりJIS等の公的な「規格」を確立することが重要です。
 規格を確立することができれば、信頼性は向上し、新規参入企業もこの規格に従わざるを得なくなる等優位に立てます。

 つまり今回は、オープン戦略のUSB-TypeC派が規格を通じて勝った、というこになるのでしょうかね。ただ、通常、この程度の分野であれば規格は複数存在することが許されるのに、規格統一の強制力を持つというのはすごいこと。

 なお、規格にするということと、知的財産権で保護することは相反するものではなく、規格に関する特許等を保有していても、無償で提供しなければならないというわけではありません。実際、日本JIS規格でも特許権を行使することができます。この手法にパテントプールという概念が出てきますが、これはまた別の時に。。

 つまり、クローズ戦略とオープン戦略はバランスをとることができることになります。

 あと、自戒しなければならないのは、私がここで記載していることは、結局、何にもしていない傍観者が偉そうに文句を言っているレベルということです。偉そうに言っても、自分にはできないレベルの事業なので。。。

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