有名な言葉がでてくると、必ずと言ってよいほど出てくる問題。
「関係のない誰かが勝手に出願し、登録してしまう問題」
昔は「阪神優勝」、最近は「PPAP」や「チバニアン」が騒がれていますね。
そこで、弊所の存在する千葉でもあるこの「チバニアン問題」について少し。
1.チバニアンとは?
ラテン語で「千葉時代」という意味。
千葉県市原市の養老渓谷にある地層が形成された時代の仮の名称。
この地層は、地球の磁場が反転したことの証拠といわれており、地質学上非常に重要。
現在、この時代が正式に認定されるよう国際地質科学連合に申請中。
ただし、イタリアにライバルがおり、イタリアの同時期の地層を元に命名を争っているところ。
命名されれば、千葉の地域創生に非常に大きな影響をもたらすこと間違いなし!!!
2.商標登録
一方、「チバニアン」商標は、2016年8月に出願され、2017年3月に登録。
指定商品は「印刷物」や「おもちゃ」、「貴金属」等
商標権者は、個人。
なお、「弁当」「清涼飲料」等については、2017年6月に出願しており、出願中です!!懲りていない!!
3.登録されてしまうと?
登録されてしまうと、「チバニアン」を付した印刷物や、おもちゃ、貴金属等が販売できなくなります。
おそらく、チラシなどに「チバニアン」と書いた場合に、警告して使用料を求めたいのですかね?
そしてこのような場合、よくある質問が、「なぜ登録できてしまうの?」ということ。
出願された商標を拒絶するためには、様々な条件があります。今回の問題に関係すると思われるものは、ざっくり、
(1)商品の産地、販売地等を普通に用いられる方法で表示するもの
(2)既に登録されている商標と類似するもの、
(3)公序良俗に反するっもの
(4)既に他人の周知な商標であるもの
(5)不正の目的があるもの
ということになります。これらに該当した場合は、登録できません。
しかし、ここで、各々解説していくと、
(1)は、「チバニアン」は産地等だからダメなのでは?と思いますが、
「チバニアン」は時代のことですので、産地などではないので、該当しにくいのです。
(2)は、既に登録がないようだったので、これも適用が難しい。
(3)これは、放送禁止用語のようなものであり、「チバニアン」は公序良俗とはなかなか言いにくい。
公の秩序を乱しているという主張はできると思いますが、なかなか審査官は指摘しにくいようです。
(4)これは、多少周知になっているかな、と思いますが、
「他人の商標」とまで明確にいえるものではないので、
この条項の適用も難しい。
(5)これが最後の砦ですが、「不正の目的」って、意外に主張が難しいんです。
この不正の目的があると何となく感じていても、審査官は明確な証拠を持って立証できないからです。
なので、結局、登録にしてしまう。ということになったのでしょうか。
現在、商標の取り消し審判が継続しているようですので、
生暖かい目で見守りたいと思います。