特許にすべきか? 実用新案にすべきか?

よくあるご相談に、
「実用新案でいいのだけれども出願したい」というご相談を受けます。

このご相談に、弁理士が言ってもよいのか迷うところがありますが、

出願をすることを希望しているのであれば「実用新案より特許出願のほうが良い」と勧めています。

これは、以下の理由によります。

1.実用新案のメリット
実用新案は、すぐに権利として主張できるというメリットがあります。
これが確かに一番のメリットです。
とにかくこれがほしい、手間をかけたくないというケースについては、
確かに実用新案をおすすめしています。
また、費用についても、特許に比べ、審査請求等の費用が掛かりません。

2.実用新案のデメリット
一方、実用新案のデメリットは、
真似され、権利を行使したいと考える場合、
特許庁に「技術評価書」を請求し(実質的に審査してもらうこと)、
しかも肯定的な評価(権利が有効であること)を得ておかなければなりません。
結局は実質的な審査です。特許と一緒です。
そしてこの請求にはもちろん費用が掛かります。
しかも、権利は確定しているので、その修正は容易ではありません。
すなわち、牽制力が弱いといったデメリットがあります。これが大きいです。
また、出願後すぐに公開されてしまいます。

3.特許出願のデメリット
特許出願のデメリットは、少なくない費用が掛かるということです。
審査請求料は、軽減を受けなければ印紙代だけで15万円位かかります。結構高額です。
しかも、審査を受けて初めて登録になるので、時間がかかります。

4.特許出願のメリット
なんといっても、審査を受けて登録になるので、牽制力抜群です!!
また、審査請求は3年間保持できるので、事業状態に応じて判断できます。
また、出願後1年6月は未公開ですので、
その間に改良発明を行ったとしても、未公開の状態であれば邪魔をしません。

5.総合的に考えて…
実用新案は、すぐに権利化できるといえども、牽制力が弱い。費用が安い。
特許は、牽制力が強いけれども、費用が高い。

一方で、特許は、審査請求を3年間保留することができます。
特許出願において、審査請求を行っていない状態は権利が未確定、すなわち
「権利が成立するかもしれない」という牽制力があります。しかも、
「どの範囲で成立するのか、審査を経ないとわからない」という未確定要素があります。
つまり、個人的な見解もありますが、
牽制力の弱い実用新案よりも、未審査請求の特許出願のほうが、
実は実質的な牽制力が強い、といえます。

ですので、まず、牽制力であれば、特許出願をお勧めします。
そして、その後やはり確実に権利がほしいということであれば、
出願から3年以内であれば、そのまま実用新案に出願変更をすることができます。

また、出願時に要する費用は、少なくとも弊所であれば、殆ど変わりません。
3年後、必要に応じて、実用新案にするか、特許として審査請求を行うか考えてもらえばよいのです。

費用対効果から、特許出願をお勧めするのです。

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