こだま国際特許商標事務所

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01月

千葉ものづくり認定製品

 12月の下旬でしたが、令和4年のものづくり認定製品が発表されました。

 千葉ものづくり認定製品は、賞金こそありませんが、知事から表彰を受けて千葉県HPに掲載され、千葉県が「良い」と認定した製品になります。

 新しい製品における対外的なアピール力が高まるといった効果があるだけでなく、千葉県産業振興センター等のコーディネータの目に留まりやすくなるため、千葉県内の補助金等の情報入手や、コーディネータ等の支援を受けやすくなるといった効果を感じています。

 このうち2社が私のお客さんの製品で、出願にも関わらせていただいた案件でした。確かに非常に良い製品で、売れ始めているところでもあり、この認定がもっと後押ししてくれるのではないかと期待しており、非常にうれしく思っています。

 昨年の千葉市のベンチャーカップCHIBAでも、私のお客様である別の会社2社が受賞されております。

 ここ数年、毎年、お客様どなたかは授賞いただけているので、良い商品を見つけながらお勧めしていくことで、製品開発や販促までもバックアップしていきますよ、というのが私の事務所の強みということになりますかね。というアピールでした!

お餅と特許

 お餅を食べました。私はバター醤油での磯辺焼きが大好きです。

 お餅の話で話題になといえば、少し古くなりましたが、下記のニュース。

「切り餅」特許訴訟、越後製菓の逆転勝訴確定
最高裁、サトウ食品の上告退ける

2012年9月20日 日本経済新聞
 切り餅がきれいに焼ける「切り込み」技術に関する特許権を侵害されたとして、越後製菓(新潟県長岡市)が、サトウ食品工業(新潟市)に商品の製造差し止めや損害賠償などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は20日までに、サトウ食品工業の上告を退ける決定をした。
 同社に商品の製造・販売禁止と約8億円の賠償を命じた二審・知的財産高裁判決が確定した。決定は19日付。
 問題となったのは、切り餅の側面に切り込みを入れて形崩れを防ぎ、焼くときれいに膨らむようにする技術。
 越後製菓が2002年に特許出願し、08年に登録。切り餅の側面に加え、上下面にも切り込みを入れたサトウ食品工業の製品が特許を侵害しているとして提訴した。
 一審・東京地裁判決は「特許は、切り込みを側面に限定するもので、上下面に切り込みがあるサトウ食品工業の製品は特許侵害に当たらない」と特許権侵害を否定。これに対し、二審判決は「側面に切り込みがあれば、越後製菓の発明の範囲に含まれる」として特許権侵害を認め、越後製菓の逆転勝訴を言い渡した。
越後製菓は、サトウ食品工業が過去に販売していた別の切り餅も特許権を侵害したとして追加提訴し、東京地裁で係争中。
 サトウ食品工業によると、同社が現在製造している切り餅には、側面に切り込みは入っていない。

 日本経済新聞より引用(https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2004D_Q2A920C1CC1000/)

 

 上記の記事は、要するに、越後製菓が、サトウ食品(サトウの切り餅)に対して、越後製菓の「横にスリットを入れたお餅の特許」の侵害であるとして侵害訴訟を提訴して、勝った、ということなんですね。

 この特許を見てみます。特許番号は特許第4636616号。権利範囲(請求項1)は下記のようになっています。

【請求項1】
 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅であって、この焼き網に載置する際に、最も面積の大きい対向する広大面の一方を載置底面他方を上面とする高さ寸法が幅寸法及び奥行き寸法より短い薄平板状の偏平方形体の切餅の、前記上下の広大面間の立直側面に、この上下の広大面間の立直側面に沿う周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、この切り込み部又は溝部は、この立直側面に沿う周方向に直線状であって、四辺の前記立直側面のうちの対向二側面である長辺部の立直側面の双方に夫々形成した切り込み部又は溝部として、焼き上げるに際し、前記立直側面の周方向に形成した前記切り込み部又は溝部の上側が下側に対して持ち上がり、最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成したことを特徴とする餅。

 初めて特許の文章を読む方は面食らうと思いますが、ざっくり上記の赤い字で書かれたところがポイントです。側面に沿った切り込みを入れてサンドイッチのように膨張することができる切り餅、ということですね。

 特許実務的には審査経過で非常に面白い論点がありますが、今日言いたいことは、「強い特許」とは、競合他社が「えっ?こんなのが特許になるの?おかしい!」と思うほど当たり前のような技術を先回りして取ったものです。

 相談の際によくいただく意見が「こんなの特許になるとは思えないけどね。」というご意見です。

 私は、このようなご意見をいただく度に「特許出願前の、明確で客観的な証拠がなければ特許庁の審査官は拒絶することができないんです」というお話をさせていただき、「もし、ないのであれば出願してみることも重要ですよ」とお話しさせていただきます。

 なぜなら、権利か出来たら上記のように強い権利になるし、ならなければ、ほかの人も特許にできないことがわかり、安心できるからです。

 一方で、最悪なのは「当たり前だと思って特許出願しなかったら他の人が出願して取ってしまった」というパターンです。

 よって、費用対効果を考えて、特許出願してみる、というのは戦略上あり、ということになります。

 なお、上記の考え方に似て防衛特許という考え方があるのですが、これはまた別の時にでもお話ししますね(すでにしていたかもしれませんが)。

 

今年の目標とPDCA

 毎年、1月1日には目標を定めることにしています。

 目標は、仕事や健康のこと等、具体的な数値を設定して達成できているかどうか毎年確認して記入しています。

 今年は、今までも毎日のように付けてはいたのですが、「毎日の予定表作成とそのPDCAサイクルの着実な実行」としました。

 ところで、PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のそれぞれの頭文字であり、計画を立てて、実行し、評価し、改善を図る、というビジネス上の行動マネジメント方法のことを言います。
 1950年頃に、米国のW・Edward Demingが提唱したといわれているようです。

 これは、行動する際、計画し、実行し、その結果を評価し、改善して、さらに次のサイクルに生かす、というのがPDCAサイクルです。

PDCAサイクル. (2022, November 6). In Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/PDCA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB
Diagram by Karn G. Bulsuk (http://www.bulsuk.com) with CC 3.0

 ただ、誰もが感じることだと思うのですが、最後のActの訳が「改善」って、おかしいんですよね。英和辞書でいくら調べてもActの訳に「改善」は出てこないんですよね。

 よく調べてみると、「Do」は計画した通りにまずは動いてみる、という意味が強く、「Act」は能動的に考えて行動を起こす、という意味合いのようです。同じ行動でも「計画通りに行動する」のか「能動的に次のために行動を起こす」という意味で異なるようですので、この微妙なニュアンスを伝えるよりは改善という言葉がぴったりしたのでしょうね。

 というところで、次の疑問として、このPDCAを「改善」と訳した時期と、TOYOTAで有名な「KAIZEN」はどちらが先なんでしょうかね?