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権利化可能性の最大化

権利化可能性の最大化

 ブログの一覧を確認していたところ、最近、実務に関する記事が少なくなっているのが気になりましたので、今日は実務的な話題を一つ。

 特許出願をより確実に成立させるための方策についてです。

 権利化の可能性を高めたい発明についてはどうすればよいかというと、下記の方法をとることが重要です(出願する以上、権利化の可能性を高めたくないということはなかなかないと思うのですが。。。)。

 ①特許出願する→②すぐ早期審査をかける→③拒絶理由通知を受け取る→④必要な対策をとる。

 まず、①特許出願をするのは大前提ですね。

 一方で、特許出願をすると、1年6月で審査の状況を問わずその内容が公開となります。逆に言うと、1年6月経過しない限り、その内容は公開されない、ということになります。

 一度公開されてしまうと、その出願内容は公知となってしまう(自分の出願が自分の類似の発明についての権利化を邪魔してしまうことになる)ため、権利化のハードルが上がり、少しの改良程度では権利化が難しくなってしまうことを意味します。しかし逆に、公開されない限り、自身の出願が権利化の邪魔することがない、ということになります。

 つまり、出願後すぐに早期審査をかけ、その発明の内容が公開される前に審査の結果を受け取ることができれば、拒絶理由対応がしやすくなる、ということです。

 より具体的には、拒絶理由通知を受けたその特許出願に対して、(A)その明細書内で反論が可能であればそのまま意見書及び手続補正書を提出し、(B)明細書内での反論が難しければ、この特許出願を基礎として反論可能なポイントを追加して優先権主張を伴った出願を行い、改めて早期審査を行い、権利化を目指す、ということになります。特に(B)は、1年以内(公開前)であるときに限ってできる重要な方策です!

 こうすれば、費用が掛かってしまいますが、成立の可能性をかなり高めることができます。

 ただ、気を付けなければならないのは、優先権主張の基礎となった特許出願の審査は「止まってしまう」ということです(基本的に基礎となった特許出願は優先権主張した特許出願があるため不要なことが多いのですが。。)。

 昔、上記の方針で拒絶理由を受け取り、上記(A)の意見書と補正書の提出と、(B)の優先権主張による別の出願と早期審査、を同時に進めたことがありました。

 しかし、日がたっても(A)についての審査官からの回答が来ず、しびれを切らして審査官に電話したところ、特許庁のシステム上の問題により、優先権主張の基礎となった特許出願については審査が止まってしまう、ということが判明しました。

 上記の方策をとったときは、基礎の出願で権利化を図り、さらに優先権主張もすることでこちらも確実に権利化を図る、という非常に欲張った方策をとったのですが、まさか止まっているとは思わずびっくりしました。

 放置すると基礎出願は1年3月で取り下げ擬制となるので、それまでに査定をもらっておけば取り下げとならないと思っていたため、正直焦りました。

 このような場合、審査官にコンタクトをとり、審査を止めないようにお願いしておくことが重要ですね。

 この点について、いろいろな弁理士さんに聞いたのですが、私の周りでは誰も知らなかったため、情報提供です。

  

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