転売対策と知的財産権

 最近のネットショップでは転売対策をとる必要があり、
 よくお客様から相談を受けることもありますので、そのお話を。

USJ、高額転売対策でメルカリと協定締結 新商品情報の共有・出品の削除対応などで連携

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(=USJ)を運営する合同会社ユー・エス・ジェイとメルカリは22日、「マーケットプレイスの共創に関する覚書」を締結したことを発表。
 USJのパーク物販商品や一部のチケット類についてメルカリのマーケットプレイスで安心・安全に取引できる環境構築を目指すもので、高額転売や買い占め対策の強化に乗り出す。
 USJ側は、メルカリに対し特定の新商品に関する発売情報や商品情報、商品画像などの提供、Webサイト等での注意喚起の実施、店舗で混乱が起きると予想される場合、販売制限を行うなど、必要な措置を講じる。
 一方、メルカリ側はUSJからの情報提供にもとづき、メルカリのアプリ上や公式ブログでの特定の新商品や一部チケット類に関し注意喚起を行うほか、USJと協議の上、利用規約に違反する出品への削除対応などを行う。

引用元:ORICON NEWS 11/22(月)

 このようなニュースを見ると、「転売は良くない」という流れがあることはわかります。

 どうしてダメなのか?といった理由については別途お話ししたいと思いますのでここは置いておいて。

 まず、転売を抑えるための手法としては下記を検討していくことになります。

 結構難しい場合もあるところが 心苦しいのですが。。。

 ①古物営業法の違反が該当するか否か
 古物営業法とは「古物」を販売するために設けられた法律です。
 この法律により許可なく「古物」を販売していた者は3年以下又は100万円以下の罰金が課せられます。
 つまり、許可を得ていなければその者を差し止めることができます。
 しかし、メルカリ等の個人売買のサイトの場合は、営利でないことを目的に古物営業に該当しないとして違法性を問えない場合もゼロではありません。

 また、「古物」でないとして逃げられてしまう可能性があります。
 例えば、「販売店」という考え方があります。具体的には、SONYのPlayStationを考えてみてください。SONYの商品ですが、販売しているのはデパートや家電量販店等の小売業者です。これは途中で使用を目的としない売買しか介していないため「古物」には該当しないためです。
 つまり、メーカー(正当製造者)から売買目的で購入したといわれれば、逃げられてしまうことになります。この売買の目的については当事者でないとわかりませんからね。

 さらに、古物商の許可を得ていた場合は、古物営業法違反は問えなくなってしまいます。

 ②商標権等の知的財産権侵害
 次に検討するのが知的財産権に基づく侵害警告です。
 「知的財産権を侵害している商品である」ということを主張し警告することで差し止めることができます。
 ただし、やはりメーカーから正当に購入したものである場合、知的財産権は消尽してしまうため、この正当性を主張された場合、差止は難しいかもしれません。
 これを防ぐために、顧客に販売する際に注意し、転売を禁止しておくことも有用です。転売禁止条項を入れておくことで知的財産権を消尽させないことが可能となるためです。
 しかしこの場合でも、実際に転売している者がメーカーが販売した先ではないときもあります(多分顧客の誰かから転売されたような場合)。この場合はどうするかって?この場合は。。。

 もちろん、転売品ではなく模倣品であれば知的財産権は消尽しないのでそのまま権利行使できます。

 上記以外にもいくつか止めた例はあるのですが、ここはまた別の機会に。。。

 また、結局のところですが、USJやメルカリ等も転売対策に力を入れているものの、なかなかゼロにできていないというのは、この転売対策が難しいということを意味しているのかなとも思います。

 しかしいずれにしろ、放置してよいことではなく、できうる対策は費用対効果を考慮した上で進めることが重要ということには変わりません。

 弊所の経験を提供しますので、一緒に考えてみませんか?というご提案です。

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