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【メモ】サルの自撮り写真の著作権

【メモ】サルの自撮り写真の著作権

米国での著作権のお話。

おサルさんが自撮りした写真の著作権がおサルさんにあるか否かというお話。

2017年9月12日 「Yahoo!JAPAN ニュース」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170912-41237082-bbc-int

上記の結論としては、
「おサルさんには著作権保護が適用されない」と判断されました。

日本では自然人(人間)以外の動物は権利能力がないとされており、
常識からすると、認められないのは当たり前と感じる話。

実際に、鹿児島地裁平成7(行ウ)1において、
林地開発に際し、
その土地にいる動物(アマミノクロウサギ)の権利が侵害されているとし、
環境NGOがその動物の権利について代わって訴訟を提起したことがあるそうです。
たしかに、この事件では、日本では動物に原告適格が認められず、負けています。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/675/015675_hanrei.pdf

では、アメリカでは訴訟になっている。
そう規定されていないのか?という疑問があるのも事実。

でも、でもですね、
日本の民法もそうなのですが、
「動物に権利を与えてはならない」ということはどこにも書いていないんですね。
環境NGOは「あるという解釈があるべき」と考えて、訴えたのでしょう。
決して、法律を知らないで起こしたということではないのです。

また、上記日本の判決例では、原告適格は認めていないものの、最後に、
「自然の保護に対し真率であり、自然をよく知り、自然に対し幅広く深い感性を有する環境NGO等の自然保護団体や個人が、自然の名において防衛権を代位行使し得る。)という観念は、人(自然人)及び法人の個人的利益の救済を念頭に置いた従来の現行法の枠組みのままで今後もよいのかどうかという極めて困難で、かつ、避けては通れない問題を我々に提起したということができる。」
と評価しています。

完全に門前払いというわけではないんですよね。

また、上記おサルさんの例でも動物愛護団体「PETA」が起こしており、
その目的も上記の地方裁判例と大体同じなのです。

この事件は、
「あまりに当たり前なのに米国ではなぜ?面白い国だ!!」というのではなく、

世の中の流れ(例えば自然を守るべき等)があり、
その流れをよどみなく進めるために、
広く権利を認める等できうる限りその流れに沿うようにしていく、
そのための努力の痕跡を感じ取ることに面白さがある、と思います。
(おそらく皆さんも記事を読んだときこのように感じたと思います。)

一方で、
近年のAIの台頭により、
AIが考えた文章などが著作物になるのかという議論も出るかと思います。

このような場合、背景に自然保護等の公益的・社会的要請がなければ、
単に権利能力だけの議論に落ちる可能性が高く、
逆に、公益的・社会的要請が背景にあれば、
認められる可能性もあるのではないかと思います。

もちろん、AIそのものを人として認め、権利能力を認めるか否かの議論も生じると思いますが。

取り留めはないのですが、

1.日本でもすでに同じようなことが考えられていた
2.滑稽な話のように見えても、実は奥が深い

 というお話でした。

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