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2017年

強い特許って?

ここで問題です。

「強い特許」ってどのようなものだと思いますか?

誰も考えつかないような技術的に素晴らしい技術?
非常に精巧で複雑な技術?

確かに、技術的に素晴らしければ価値は高いかもしれません。
例えばノーベル賞を受賞した山中先生のiPS細胞等はすごいですよね。
特許としても稼いでいますよね。

これを見てしまうと「自分の発明なんて。。。」って思ってしまうかもしれません。
でもね、そうではないんですよね。

本当に「強い特許」というのは、
「その製品を作るためにはどうしても使わなければならない」特許なのです。
そして、極端なことを言うと「誰でも思いつくような」ものが多いです。
(もちろんそうでないものもあります。)

例えば、

「誰でも思いつくようなものが特許になるわけがない」と思いますか?
そうですよね。
でも、「特許出願をしたときは当たり前ではなかった」のです。

ポイントは、いずれ避けられなくなるであろう技術を、
如何に、早く先んじて出願してしまうか、ということです。

「自分の製品は簡単な改良だから」とあきらめるのではなく、
「簡単な改良だが他の人は回避できるか?」を考えてみる。
そして、その改良が新しく、そして効果があるのであれば、
出願を考えてみてはどうですか?

ただし、費用対効果が前提となりますので、その点は十分に弁理士と相談してください!!!

「チバニアン」商標

有名な言葉がでてくると、必ずと言ってよいほど出てくる問題。

「関係のない誰かが勝手に出願し、登録してしまう問題」

昔は「阪神優勝」、最近は「PPAP」や「チバニアン」が騒がれていますね。
そこで、弊所の存在する千葉でもあるこの「チバニアン問題」について少し。

1.チバニアンとは?
 ラテン語で「千葉時代」という意味。
 千葉県市原市の養老渓谷にある地層が形成された時代の仮の名称。
 この地層は、地球の磁場が反転したことの証拠といわれており、地質学上非常に重要。
 現在、この時代が正式に認定されるよう国際地質科学連合に申請中。
 ただし、イタリアにライバルがおり、イタリアの同時期の地層を元に命名を争っているところ。
 命名されれば、千葉の地域創生に非常に大きな影響をもたらすこと間違いなし!!!

2.商標登録
 一方、「チバニアン」商標は、2016年8月に出願され、2017年3月に登録。
 指定商品は「印刷物」や「おもちゃ」、「貴金属」等
 商標権者は、個人。
 なお、「弁当」「清涼飲料」等については、2017年6月に出願しており、出願中です!!懲りていない!!

3.登録されてしまうと?
 登録されてしまうと、「チバニアン」を付した印刷物や、おもちゃ、貴金属等が販売できなくなります。
 おそらく、チラシなどに「チバニアン」と書いた場合に、警告して使用料を求めたいのですかね?

 そしてこのような場合、よくある質問が、「なぜ登録できてしまうの?」ということ。
 出願された商標を拒絶するためには、様々な条件があります。今回の問題に関係すると思われるものは、ざっくり、
 (1)商品の産地、販売地等を普通に用いられる方法で表示するもの
 (2)既に登録されている商標と類似するもの、
 (3)公序良俗に反するっもの
 (4)既に他人の周知な商標であるもの
 (5)不正の目的があるもの
 ということになります。これらに該当した場合は、登録できません。

 しかし、ここで、各々解説していくと、
 (1)は、「チバニアン」は産地等だからダメなのでは?と思いますが、
 「チバニアン」は時代のことですので、産地などではないので、該当しにくいのです。

 (2)は、既に登録がないようだったので、これも適用が難しい。

 (3)これは、放送禁止用語のようなものであり、「チバニアン」は公序良俗とはなかなか言いにくい。
  公の秩序を乱しているという主張はできると思いますが、なかなか審査官は指摘しにくいようです。

 (4)これは、多少周知になっているかな、と思いますが、
  「他人の商標」とまで明確にいえるものではないので、
  この条項の適用も難しい。

 (5)これが最後の砦ですが、「不正の目的」って、意外に主張が難しいんです。
  この不正の目的があると何となく感じていても、審査官は明確な証拠を持って立証できないからです。

  なので、結局、登録にしてしまう。ということになったのでしょうか。
  
  現在、商標の取り消し審判が継続しているようですので、
  生暖かい目で見守りたいと思います。

授業

10月から大学で授業を担当します。

特許明細書を読んで、特許文献を調べて、特許を実際に書いてみる、という授業。

一人ずつ添削するため時間と手間がかかる授業で、
あまり多人数を見ることができず、迷惑をかけることも多いこと。
そもそも今年受けてくれる人が何人いることやら。。。。

大学が研究と教育をやっていればよいと考えていた時代は今は昔。

最近は、大学の技術移転活動も大学の重要な使命となり、
大学の先生が自分で事業を起こすことも珍しくない時代。

特許は権利を取得して他社からの模倣を防止する有効なツールであるだけでなく、
自分の事業の優位性を示すバロメータにもなります。

特許は主役ではないですが、読み方や多少の書き方は知っていないといけないこと。
いいようにされてしまわないように。。。

アルマゲドン!!(宇宙空間での特許権)

久しぶりに映画「アルマゲドン」を見ました。

地球に衝突する軌道にある小惑星が発見され、
ハリー(ブルース・ウィルス)率いる技術者たちが、
その小惑星に乗り込み、破壊して地球を救う、という話。
涙なしには語れません!!

特に、ハリーやA.J.(ベン・アフレック)たちが一列に並んで歩き、宇宙船に乗り込む場面。
超名場面です!
様々な映像でオマージュされていますしね!!

…オマージュと著作権の話はさておき、
やはり、私がちょっと知っている分野の、特許の話。

小惑星での作業に超頑張った作業船「アルマジロ」
そのアルマジロに特許問題があったようで、ハリーが「俺のアイデアを盗んだ」という主張をするのですが、
NASAの研究者は「宇宙に特許はない」と言い放つのです。
なるほど。

実はこのシーンは企業時代の個人的な思い出も深く、
私の先輩が採用面接面接で「宇宙空間に特許権は及ぶのか?」と、応募者(後の私の「後輩」)問いたのに対し、
その後輩が、アルマゲドンのこのシーンにピンときて「及びません!!」と答え、
アルマゲドンの話で意気投合したという話。
しみじみ思い出されます。

で、久しぶりに確認を取ってみたのですが。

米国特許法第105条
(a)合衆国の管轄又は管理の下に,宇宙空間において,宇宙物体又はその構成要素に関して
行われ,使用され又は販売されたすべての発明は,本法の適用上,合衆国内において行われ,
使用され又は販売されたものとみなされる。~

…んん? あれ?

適用されています!!!

映画は映画として楽しむもので、真実ではないこともあるのでそのままうのみにするのは危険!!
(当たり前!!)

というお話。

一発登録(拒絶理由通知なしの特許査定)

特許出願では、審査請求という手続を行うと、
特許庁審査官が審査を行い、
拒絶の理由があるか否かを審査します。

その審査の結果、
拒絶すべき理由があると考えた場合は拒絶理由がきますが、
拒絶すべき理由がないと考えた場合は特許査定がきます。

最終目標は当然、「特許査定」です。

で、ここで質問。
拒絶理由通知は来た方がよいですか?来ないほうが良いですか?
こんな時、当然「来ない方がよい」と答えるでしょう。私もそうです。
出願人の方にとっては余計な費用が掛かるものですしね。

でもね、拒絶理由が通知されずに一発登録というのは実はもったいない可能性があります。
「本当はもっと広くとれたかもしれないのに、狭く権利を取ってしまったかもしれない」という可能性です。

出願時には最大限広くとれる範囲を想定して記載するものです。
でも、一発登録というのは、
「本来特許を取ることができた範囲≧特許査定となった請求項」 の関係になります。

「本来特許を取ることができた範囲=特許査定となった請求項」であればよいのですが、
公知例が全く通知されていない状態で特許査定になるということは、
そのぎりぎりの範囲がわからず、もう少し広くとれたかも、ということを意味します。

ですので、拒絶理由が通知されず特許査定が通知された場合「もう少し広くとれたかも」という考えが必要です。
特許権を取得できるという喜びは当然ですが、この点を見落とさないでください。

昔、私が企業にいたとき、特許査定がきてしまうと、
権利をより広くするための分割出願のチャンスがなくなってしまうので、
確実な権利範囲を確認するため、
わざと拒絶理由をもらう請求項を作ったりしたこともあります。

ただ、現在は、特許査定が来た時にも分割することができるため、
この要請はかなり低くなりました。

一発登録でも油断しないように、というお話でした。

特許と実用新案の「進歩性」の違い

よく
特許は「大発明」、実用新案は「小発明」といわれます。

そして、これを象徴する言葉に「進歩性」というものがあります。
特許では、登録するために
「容易に発明をすることができなかったこと」が必要であり、
実用新案では、有効性を主張するには
「極めて容易に発明をすることがでなかったこと」が必要と言われています。

すなわちこの「極めて」という言葉が、
実用新案を小発明、特許を大発明、というように結び付けているのでしょう。

でも、でもですね、
実は、特許法でも、実用新案法でも、侵害された場合の賠償額の算定に明確な違いがないんです。
つまり、同じ賠償額をとれる可能性があるってことなんです。

であれば、当然、取りやすい権利のほうがいいですよね?
でも、実際はそうなっていない。
むしろ、現在の(実質的無審査の)実用新案登録制度になってから、
少なくなってきているんです。

これは、結局、上記の理由から、特許庁で審査されても、
進歩性に違いがないからなんでしょうね。
(しかも登録になって権利範囲が確定になっているのでつぶされやすい)

同じ効果であれば、実質的に同じ要件を課しているのだと思います。

弁理士として、これを言ってもいいのかな?というところはありますが、

現在、現実的にはそうなっていると解釈せざるを得ないんです。

特許にすべきか? 実用新案にすべきか?

よくあるご相談に、
「実用新案でいいのだけれども出願したい」というご相談を受けます。

このご相談に、弁理士が言ってもよいのか迷うところがありますが、

出願をすることを希望しているのであれば「実用新案より特許出願のほうが良い」と勧めています。

これは、以下の理由によります。
1.実用新案のメリット
 実用新案は、すぐに権利として主張できるというメリットがあります。
 これが確かに一番のメリットです。
 とにかくこれがほしい、手間をかけたくないというケースについては、
 確かに実用新案をおすすめしています。
 また、費用についても、特許に比べ、審査請求等の費用が掛かりません。

2.実用新案のデメリット
 一方、実用新案のデメリットは、
 真似され、権利を行使したいと考える場合、
 特許庁に「技術評価書」を請求し(実質的に審査してもらうこと)、
 しかも肯定的な評価(権利が有効であること)を得ておかなければなりません。
 結局は実質的な審査です。特許と一緒です。
 そしてこの請求にはもちろん費用が掛かります。
 しかも、権利は確定しているので、その修正は容易ではありません。
 すなわち、牽制力が弱いといったデメリットがあります。これが大きいです。
 また、出願後すぐに公開されてしまいます。

3.特許出願のデメリット
 特許出願のデメリットは、少なくない費用が掛かるということです。
 審査請求料は、軽減を受けなければ印紙代だけで15万円位かかります。結構高額です。
 しかも、審査を受けて初めて登録になるので、時間がかかります。

4.特許出願のメリット
 なんといっても、審査を受けて登録になるので、牽制力抜群です!!
 また、審査請求は3年間保持できるので、事業状態に応じて判断できます。
 また、出願後1年6月は未公開ですので、
 その間に改良発明を行ったとしても、未公開の状態であれば邪魔をしません。

5.総合的に考えて…
 実用新案は、すぐに権利化できるといえども、牽制力が弱い。費用が安い。
 特許は、牽制力が強いけれども、費用が高い。
 
 一方で、特許は、審査請求を3年間保留することができます。
 特許出願において、審査請求を行っていない状態は権利が未確定、すなわち
 「権利が成立するかもしれない」という牽制力があります。しかも、
 「どの範囲で成立するのか、審査を経ないとわからない」という未確定要素があります。
 つまり、個人的な見解もありますが、
 牽制力の弱い実用新案よりも、未審査請求の特許出願のほうが、
 実は実質的な牽制力が強い、といえます。

 ですので、まず、牽制力であれば、特許出願をお勧めします。
 そして、その後やはり確実に権利がほしいということであれば、
 出願から3年以内であれば、そのまま実用新案に出願変更をすることができます。

 また、出願時に要する費用は、少なくとも弊所であれば、殆ど変わりません。
 3年後、必要に応じて、実用新案にするか、特許として審査請求を行うか考えてもらえばよいのです。

 費用対効果から、特許出願をお勧めするのです。

【メモ】サルの自撮り写真の著作権

米国での著作権のお話。

おサルさんが自撮りした写真の著作権がおサルさんにあるか否かというお話。

2017年9月12日 「Yahoo!JAPAN ニュース」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170912-41237082-bbc-int

上記の結論としては、
「おサルさんには著作権保護が適用されない」と判断されました。

日本では自然人(人間)以外の動物は権利能力がないとされており、
常識からすると、認められないのは当たり前と感じる話。

実際に、鹿児島地裁平成7(行ウ)1において、
林地開発に際し、
その土地にいる動物(アマミノクロウサギ)の権利が侵害されているとし、
環境NGOがその動物の権利について代わって訴訟を提起したことがあるそうです。
たしかに、この事件では、日本では動物に原告適格が認められず、負けています。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/675/015675_hanrei.pdf

では、アメリカでは訴訟になっている。
そう規定されていないのか?という疑問があるのも事実。

でも、でもですね、
日本の民法もそうなのですが、
「動物に権利を与えてはならない」ということはどこにも書いていないんですね。
環境NGOは「あるという解釈があるべき」と考えて、訴えたのでしょう。
決して、法律を知らないで起こしたということではないのです。

また、上記日本の判決例では、原告適格は認めていないものの、最後に、
「自然の保護に対し真率であり、自然をよく知り、自然に対し幅広く深い感性を有する環境NGO等の自然保護団体や個人が、自然の名において防衛権を代位行使し得る。)という観念は、人(自然人)及び法人の個人的利益の救済を念頭に置いた従来の現行法の枠組みのままで今後もよいのかどうかという極めて困難で、かつ、避けては通れない問題を我々に提起したということができる。」
と評価しています。

完全に門前払いというわけではないんですよね。

また、上記おサルさんの例でも動物愛護団体「PETA」が起こしており、
その目的も上記の地方裁判例と大体同じなのです。

この事件は、
「あまりに当たり前なのに米国ではなぜ?面白い国だ!!」というのではなく、

世の中の流れ(例えば自然を守るべき等)があり、
その流れをよどみなく進めるために、
広く権利を認める等できうる限りその流れに沿うようにしていく、
そのための努力の痕跡を感じ取ることに面白さがある、と思います。
(おそらく皆さんも記事を読んだときこのように感じたと思います。)

一方で、
近年のAIの台頭により、
AIが考えた文章などが著作物になるのかという議論も出るかと思います。

このような場合、背景に自然保護等の公益的・社会的要請がなければ、
単に権利能力だけの議論に落ちる可能性が高く、
逆に、公益的・社会的要請が背景にあれば、
認められる可能性もあるのではないかと思います。

もちろん、AIそのものを人として認め、権利能力を認めるか否かの議論も生じると思いますが。

取り留めはないのですが、

1.日本でもすでに同じようなことが考えられていた
2.滑稽な話のように見えても、実は奥が深い

 というお話でした。

「℃」の英語表現

翻訳を確認していて、ふと思ったことです。

「℃」という表現、実は日本語フォントで、全角一文字です。
ファイルのやり取りでMicrosoftワードが世界共通的に使用できるとしても、
外国では日本語フォントを入れてくれていない場合もあると思います。
文字化けは避けなければならないこと。
どうすればよいのか非常に迷ったことがあります。

単に”degree”でよいのかと思いましたが、
米国では華氏(°F)を使う場合もあるので、
“degree celsius”としておけばよいのでしょうが、長くていけません。
特に、”m”や”kg”といった単位はそのまま単位記号ですので
℃だけ”degree celsius”では統一性がなく、かっこよくありません。

特に℃(摂氏)は非常に一般的な単位ですので、使いたい。

そこで調べてみたところ、以下の方策があるようです。

(1)英語サイトを確認してそのままコピーする。
 非常に簡単です。こうすれば楽ですよね。
 自分のお気に入りのページをブックマークに入れておけばよいこと。

(2)Alt +0176を使う+”C”をつける
 これは、テンキーで「Alt」キーを使用し、テンキーで0176を入れる。
 すると、”°”が出るので、これに半角の「C」をつける。

簡単そうでいて、なかなか手間がかかります。

特許出願の審査請求料等の減免について

特許出願においては、費用減免制度があります!!

例えば、特許出願において審査請求を行うと、
請求項5項の場合、14万円位かかります。
しかし、小規模企業様の場合、この費用が1/3程度になります!
この結果、5万円を切ることになります。

ただし、この制度は時限的な措置ですので、
2018年(平成30年)3月末までに行う必要があります。

軽減を受けたいと考えている方は、それまでに!!